生成AIが大隆盛!しかし、有料研修は当たり外れが大きい
ここ数年で、生成AIへの関心が急速に高まっています。ChatGPTをはじめ、画像生成ツールや音声合成技術など、私たちの仕事や生活に影響を与える技術が次々と登場しています。こうした流れを受けて、企業研修やオンラインセミナーなど、有料の生成AI研修も一気に増加しました。
一見すると、生成AIを学ぶには最適な環境が整いつつあるように思えます。しかし実際には、「これは受けなくてよかったかも」と感じるような内容の研修が少なくありません。特に生成AIは日進月歩の分野であり、講師や主催者自身が最新の動向を完全に把握しきれていないことも多いため、受講者の期待と内容にズレが生じがちです
そこで本稿では、生成AI研修を選ぶ際に気をつけるべきポイントと、避けるべき研修の特徴について解説します。これから研修を受けようとしている方は、ぜひ参考にしてください。
雑誌やウェブサイトで簡単に調べられる基本的な研修が多い
有料の生成AI研修の中には、驚くほど基本的な内容だけで構成されているものが多くあります。たとえば、「ChatGPTとは何か」「プロンプトとは何か」「画像生成AIにはどのような種類があるか」といった概要的な話が中心で、実際の活用方法にはあまり踏み込まないケースが散見されます。
このような内容は、正直なところ、ビジネス誌の特集やYouTubeの無料解説動画、または各社が発行するホワイトペーパーなどで十分に学ぶことができます。生成AIに関する基本情報は日々更新されており、書店のAIコーナーやニュースサイトでも頻繁に取り上げられているため、独学でも十分に追いつくことが可能です。
研修の主催者もまだ試行錯誤の段階にあり、「初心者向け」と称して無難な内容にとどめている傾向があります。そのため、参加費に見合った実用性が得られないことが多いのです。「初学者向け」と記載されている講座に申し込む前には、一度内容を確認し、それが本当に自分に必要な情報かを見極める必要があります。
デザインやマーケティングなど他の業種が「生成AI」を謳って集客する研修も多い
生成AIの人気に便乗して、タイトルに「生成AI」と入れておきながら、実際にはデザインやマーケティングに関する内容が中心という研修も少なくありません。こうした研修は、「生成AIを活用して商品パッケージを作る方法」や「AI時代のブランド戦略」といった形で構成されており、実際に生成AIを深く学ぶというよりは、他業種の知識を前提とした話が多くなりがちです。
講演者も、生成AIの専門家というよりは、デザイナーやマーケターといった別分野の専門家であることが多く、その中で「最近は生成AIも使っています」と軽く触れる程度にとどまることがほとんどです。これでは、「生成AIを活用する方法」を学びたいと考えて参加した受講者にとって、満足度が低くなるのも無理はありません。
こうした研修は、業界内での人脈作りや情報交換が目的であれば意味はあるかもしれませんが、実用的な生成AIのスキル習得という観点では期待外れとなる可能性が高いです。申し込む前に講師の専門領域をよく確認し、実際にAIに関する技術的な話をどの程度扱うのかを見極めることが重要です。
データばっかりの研修や、大学の研究結果発表などは参考にならない
生成AI研修の中には、「生成AIによる社会変容」や「生成AIと労働市場」などをテーマにしたデータ分析中心の内容もあります。たとえば、ChatGPTの登場によってどの業種がどのように変化したか、あるいはAIリテラシーに関する意識調査など、学術的な報告や統計に基づく説明がなされることも多いです。
こうした研修は、教養としては確かに有意義ですし、AIによるマクロ的な影響を理解する上では一定の価値があります。しかし、自分自身が生成AIをどう活用するか、あるいは業務にどう組み込むかといった具体的な実践力を身につけたい方にとっては、あまり役立たないというのが実情です。
特に大学や研究機関が主催するセミナーでは、技術的な用語や研究モデルの紹介に時間を割くことが多く、実際のツールの使い方や現場での応用に関する話はあまり出てきません。これは研究成果の性質上、仕方のないことではありますが、「操作を覚えて仕事に活かしたい」という目的で参加すると拍子抜けしてしまう可能性があります。
実践型の研修は10人が限界
生成AIの活用法を本格的に学びたい方にとって、有意義なのはやはり実践型の研修です。たとえば、実際にプロンプトを作成してみたり、生成AIに与える指示の工夫を試したり、講師から直接フィードバックを受けられるような内容は、現場に直結するスキルを身につけるために非常に役立ちます。
しかし、こうした実践型の研修は、定員が重要なポイントになります。講師が一人ひとりの作業を見ながら、的確なコメントを返すには、最大でも10人程度が限界です。20人、30人といった大人数の研修では、講師がすべての受講者に丁寧に対応するのは難しく、結果として「ただ話を聞いて終わる」形式になってしまいがちです。
実践型研修を選ぶ際は、人数制限があるか、グループワークがきちんと設計されているか、個別の質問に対応する時間があるかどうかを確認しましょう。また、講師の人数に対して受講者が多すぎないかも要チェックです。人数が少ないほど、質の高いフィードバックが得られる傾向があります。
また、受講後のフォロー体制(スライド資料の提供、Q&Aチャットの開放、動画アーカイブの共有など)があると、学びを定着させる上で非常に有効です。単に「やって終わり」ではなく、「継続して学べる環境があるかどうか」も選定の重要な基準になります。
まとめ
生成AIの普及に伴い、有料研修の数も爆発的に増えていますが、その中には期待外れの内容も少なくありません。基本的な知識を紹介するだけの研修は、無料で得られる情報と大差なく、コストパフォーマンスが悪くなりがちです。また、「生成AI活用」と銘打っていても、実態は他業種の専門家による講演であり、AIの具体的な操作や活用にはほとんど触れないということもあります。
データ中心の学術的なセミナーも、教養にはなりますが、実用性という観点では物足りないケースが多いでしょう。その一方で、少人数で講師と双方向にやりとりができる実践型の研修は、生成AIを業務に活かしたい人にとっては非常に有益です。
有料研修を選ぶ際には、自身の目的と合致した内容か、講師の専門性は信頼できるか、少人数制が確保されているかなど、いくつかのポイントを確認することが大切です。「有料だから安心」ではなく、「有料でも価値があるか」を冷静に見極める姿勢が、後悔しない選択へとつながります。
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