生成AIの機能が急上昇
生成AI自体はだいぶ前からありましたが、最近、特にこの語句を目にする機会が増えてきたと感じている人は多いのではないでしょうか。生成AIは、使う側次第で非常に優秀にも、ポンコツにもなるのですが、そのため、一度は使ってきたものの、使いこなせずに諦めてしまった方も多いと思われます。しかし、生成AIの使い方がだいぶマニュアル化されて、経験の少ない人でも比較的簡単に扱えるようになってきたことや、対応領域が急拡大しており、生成AIでできることが格段に増えてきました。そのため、もはや生成AIは使わなければ損で、生成AIを使わずに無理に人力で仕事をこなそうとしても、ブルドーザーを使わずに自力で土木作業をするようなもので、全く非合理です。
そこで本稿では、今さらながら生成AIをどう仕事に活用すべきかを整理のうえ、そこから人材育成における新たに生じる課題を検討いたします。
生成AIは高速な助手
生成AIは簡単に言えば「高速な助手」です。私はこのサイトにおける投稿は、すべて自分でネタを収集して文章作成し、1記事あたり1時間ほどを要しています。しかし、生成AIに「うまく」指示するとこの程度の文章はものの数分で完成させてくれます。60分かかる仕事を5分でできるのであれば、労働生産性は12倍になる計算です。
このほか、生成AIは書きかけのイラストを完成させてくれたり、録音データの反訳なども短時間でこなしてくれます。これまでこうした仕事は、費用を出せれば外注で、費用がなければ自力でこなしてきましたが、こうした助手に任せたい仕事を短時間で低コストでこなしてくれるため、業務において活用しない選択肢はないと言っても過言ではない程度に有能です。
指示にコツが必要
生成AIは何でも思うように仕事をこなしてくれるわけではなく、指示にコツがいります。文章作成を依頼するにあたっても、アバウトな指示に対してはアバウトな文章しか作成できません。また、指示の内容を誤解されると、想定したものとは大きく異なるアウトプットが出てきてしまいます。そのため、詳細な指示をどのように効果的に伝えるかがカギであり、これは生成AIを使う機会を増やして自身で習熟するしかありません。
生成AIを敬遠して人力を優先する方は、どうしてもアバウトな指示について行間を読み取って、自身の望むアウトプットを出せることを優先しがちです。しかし、それではいつまでたっても効果的な指示のスキルを得るのは難しいですし、人力と生成AIの能力差からどんどん競合他社との差が広がってしまいます。生成AIを使いながら効果的な指示手法を試行錯誤していく必要がどこかで必ず来ると思われます。
単純作業を担う安い労働力が不要になる
こうして生成AIが様々な仕事を速く、正確に行えるようになると、単純作業を担う安い労働力が必要なくなってしまいます。現に、法律事務所では近時、事務員の人数を減らしていますし、特許事務所でも、比較的単純な作業をどんどん自動化して作業効率を向上させているケースがどんどん報告されています。
企業の無駄な仕事の筆頭例として、会議の紙資料準備があります。資料自体はワードやPDFで作成されているはずで、そのデータを共有すればよいだけなのですが、どうしても紙資料を求める方がおり、そのために若手が印刷機の前で単純作業を強いられるのは大きな無駄で、こうした単純作業が若手の退職の引き金となる場合もあります。しかし、生成AIを活用すればこうした単純作業がオフィスから大幅に減り、こうした単純作業しかできない労働力は必要とされなくなってしまいます。
専門家は必要。でもどこで習熟する?
単純作業をする労働力のニーズは大きく減少する反面で、専門家自体は必要です。自動診断ツールができたとしても、最終的な診断は医師がすべきですし、法律問題は最後は弁護士が関与する必要があります。また、生成AIを使いこなせる一定の習熟度を有する人材は必ず必要です。しかし、オフィスから単純作業がなくなると、雇われるためには最初から高度なスキルが必要とされます。例えば弁護士で言えば、これまでは司法修習を卒業して、弁護士としての経験値ゼロの若手は法律事務所に雇用され、比較的簡単な仕事を任されながら、先輩弁護士の仕事を見て成長する機会を与えられましたが、この「比較的簡単な仕事」がなくなると、法律事務所は即戦力弁護士しか募集しなくなると見込まれ、若手弁護士はどこでスキルを得れば良いのか、工夫が必要となります。
まとめ
生成AIの使い勝手は格段に高まっており、業務効率を上げるためにこれを使わない手はありません。ただ、生成AIを使うためには、適切に指示するスキルが必要となるため、早めにこの練習を始めた方が良いでしょう。
生成AIの活用が普及すれば、単純作業を人が担う機会が格段に減少します。これは、コア業務だけに集中できる、と捉えると良い変化なのですが、比較的簡単な仕事をこなしながらステップアップしていく業界では、即戦力だけ求められるが、その即戦力をどう育成するかが大きな課題となる可能性があります。
当研究所でも、業務に生成AIの活用を様々な観点で取り入れ始めました。DX推進のために生成AIの導入をご検討の企業におかれましては、ぜひ、下記よりお気軽にお問い合わせください。
コメント