相続に必要な現預金の捻出法

相続・事業承継

相続の前後で必ず現預金が必要になる

相続「手続」は残った被相続人の財産を分ける手続ですが、その前後で現預金が必要となるケースが必ずあり、そのタイミングで現預金がないことで、相続が争続に発展したり、大きく損をしたりすることが結構よくあります。本稿では、相続の際に現預金が必要なタイミングとその対処法をご紹介いたします。

まず何より被相続人の生活が一番

相続のために必要というよりも、その前に、被相続人が満足な生活をし、医療や介護サービスを受けるために十分な現預金が必要です。これにより、相続時には現預金はほぼないというケースも大変多いです。

被相続人の生活資金は被相続人自ら頑張って貯蓄する必要がありますが、特にリタイア後に就く仕事が描けない方は早めに年金準備が必要です。一般的な年金に加え、いわゆる「3階」の年金貯蓄・運用を遅くとも40代には考え始めなければ、老後資金が尽きて、満足のいく相続にさえ到達できない可能性があります。

次に配偶者の生活の考慮

相続時に色々現預金が必要であるため、相続財産の現預金をこれにあてようとしがちですが、被相続人に配偶者がいる場合、多くは配偶者に十分な収入はなく、生活のために現預金を残す必要があります。そのため、相続手続に必要な資金は別途用意して、配偶者に出来る限り現預金を残したいところです。

相続財産の中に安定収入につながる賃貸不動産などがあれば配偶者に優先的に相続させ、そうした財産がなければ比較的換金の容易な上々株式等を優先的に配偶者に相続させるのが望ましく、相続で揉めそうであれば遺言を残しておくことも考える必要があります。

相続財産が不動産や非上場株式ばかりの場合

相続財産は現物をできる限り共有にせずに分割するのがセオリーですが、換金の難しい財産ばかりの場合、工夫が必要です。

こうした財産は換価分割という、売却してその代金を分ける手法が使いにくいです。そのため、誰かが財産を相続して、他の相続人に金銭で返金する手法を採用することが多く、ここで現預金が必要となります。

対策としては最も現預金の蓄えのある相続人に相続させて現預金で調整を促すこと、そうした相続人に予め現預金を準備するよう早めに促す事、生命保険を活用して現預金を捻出すること、などがあります。

相続税の支払財源がない場合

相続財産総額が控除限度額を超えている場合、配偶者以外の相続人は少しでも相続すると納税が必要になります。だからといって配偶者にすべて相続させても、相続税を二次相続の時まで先延ばしするだけです。二次相続まで考えて、計画的に相続人は相続し、納税を行っていかなければなりません。

こうした納税資金も、早めに配偶者以外の相続人に必要性を伝え、準備させるのがセオリーです。しかし、それが難しい場合、納税額を概算で算定し、その金額に見合った換価可能な財産や収益物件、生命保険等を準備することが望ましいです。

まとめ

相続時には色々現預金が必要で、それでいて、その前後の高齢夫妻の生活を維持する必要もありその捻出は計画的に行う必要があります。

当研究所では、手続処理に詳しい弁護士兼資金繰りに詳しい公認会計士がこの問題にワンストップで対応いたします。お気軽に下記よりご相談ください。

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