小規模焼肉屋の倒産が増加。原因は明らかだがそれを直接潰しにいってはならない
比較的小規模の焼肉屋の倒産が増加しています。背景には牛肉を中心に野菜など様々な材料価格の高騰が挙げられます。
窮境原因が材料費の増加だとわかっているため、ついついこれに対する直接的な対策を考えがちですが、それではこのケースでは対策になりません。
本稿では、焼肉屋の事業再生の考え方を、順を追って整理したいと思います。
直接的なアプローチ
材料費の高騰が窮境原因だとわかっているためこれを直接的に潰しにいこうとすると以下のような対策になりがちです。
・円安対策のために為替予約を活用しよう
・同程度の味でより安い肉に仕入先を変えよう
・肉以外のメニューをより安いものでごまかそう
・国産で安定して安く仕入れられる材料をメインに据えてメニューを見直そう
概ねセオリーに則った策なのですが、これでは倒産危機回避は難しいでしょうし、品質がジリ貧に低下して客離れが進んでしまうでしょう。
全体的な原価低減
コストが問題で、材料費のように直接的な原因を直接たたくことができない場合、生産プロセス全体を見てコスト削減策を検討することが必要です。これを原価低減と言います。
プロセス全体でみると、
・仕入肉の搬送先を最適化する
・肉のスライスや保存、在庫管理などを最適化する
・その他材料の見直し、季節レベルでの入れ替え等を通じたコストカット
・外注やセントラルキッチンの活用?各店舗で個人スキルで頑張る?
・調理プロセスの再考
など様々な場面でコストカットの余地があり、自社が提供する商品の品質水準を守りながら徹底してコストカットすることがまず大事です。
価格転嫁
徹底的な原価低減ができた段階で価格改定を考えることとなります。
社会全体の物価高の中、値上げしない商品はなく、値上げで即、売上が大きく落ちることは考えにくいです。
大事なのは社会の物価高に見合った相当な価格転嫁であること。原価低減後の原価に照らして、ほどほどの利益があがる価格に設定すれば顧客は維持できる可能性が高いでしょう。
付加価値を高めよ
原価が厳しくなるとどうしてもその場しのぎのコストカットに走りがちですが、そのような場面でこそ商品サービスの付加価値を高めて強気に値上げすることがセオリーです。
焼肉の素材が高騰しているのであれば、思い切って高級店にシフトしたり、割安な仕入先を探して価格を維持するなどいくつか、顧客にとっての付加価値を高める手法があり、そこに積極的に踏み込んでいくことが重要です。
まとめ
焼肉屋は典型的な輸入産業であるため苦しんでいますが、輸入材料に頼る事業者はどこも似たり寄ったりではないでしょうか。大切なのは製造プロセス全体でコストカットしてから適切な価格をつけなおすことです。
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