氷河期世代がどんどん追いつめられている
就職氷河期世代の人間は、全世代の中でも特に苦労してきた世代ですが、その世代の人間にさらに試練が待ち受けているという報道をよくみかけるようになりました。就職氷河期世代はとにかく就職が難しく、優秀なのに正規で雇用されなかったり、希望する業種に就職できないなど、満足のいく就職ができなかった方が多いです。
そこに、昨今の人手不足から、新入社員の賃上げが進んでおり、就職氷河期世代が長年の積み重ねで得てきた給料を簡単に稼ぐようになりました。一方で全社員の賃上げは難しいことから、就職氷河期世代は賃上げされにくいという皮肉な状況にもなっています。
そして、高齢化に伴い、どんどん窓際においやられて居場所がなくなる方も増えています。そこで本稿では、こうした就職氷河期世代の逆転の方策をSWOT分析を用いて検討していきます。
SWOT分析その1 強み
就職氷河期世代の強みは苦労人であることです。同世代の人数が多く、何をするにも競争で、受験も就職も、コンテストなども簡単に手に入るものは何つありませんでした。そのため、欲しいものを得るためには必死で頑張らなければならず、スポーツでも勉強でも他の世代よりもずっとストイックに努力を重ねた方が多いです。
残念ながらこの努力が社会への貢献にあまり寄与していないことから、就職氷河期世代は憂き目にあっていますが、目標に向かって地道に頑張ってきた経験と、その姿勢は他の世代にはない強みであるはずです。
また、何をするにも競争であったため、競争に勝ちぬくための心構えやメソッドを多く持っていることも強みで、今、伸びている企業を先導しているのは就職氷河期世代の勝ち組たちでしょう。
SWOT分析その2 弱み
逆に就職氷河期世代の弱みとしては、人数が多すぎることがまず挙げられます。今の若者の人手不足とは真逆で、人手はいくらでもいるので、取り換えも簡単。そのため、少しでも組織の意にそぐわない人間は簡単に切り捨てられてしまいます。
社会では一度でも競争に負けた人間は負け犬としてなかなか再浮上が難しくなります。こうして、優秀なんだけれどもちょっとしたミスや、低評価を受けるだけで競争からおろされてしまうという非常に辛い状況に置かれています。
また、就職氷河期世代が競争してきたのは今とは異なり、ガチガチの縦社会で、上司の命令は絶対であるうえ、実力で上下関係を覆すこともできません。そうした時代に生まれてきたことがこの世代の非常に重荷となる弱みとなっています。
SWOT分析そも3 外部環境
就職氷河期世代の外部環境はほぼ脅威一択の状態が続いています。大学入試の時から競争が激しく、就職は入試よりもさらに激しい争いとなり、正規雇用を勝ち取れなかった方も多く出たほか、大多数の方が希望通りの就職を果たせませんでした。
就職した後は少し落ち着いたものの、時代の変化に伴い、自分たちのやってきたことが部下に通じなくなり、自分が上司からされた指導を部下にするとパワハラだと言われてしまう始末。社内で同期との出世争いも上に上がるほど苛烈になり、争いに敗れると窓際においやられ、居場所を失っていきます。そこに、若手がどんどん昇給して、自分はあまり昇給しないという下からの追い込みもあって、本当に企業で生き残れるのはほんの一握りしか残らないという状況になっています。
逆転の一手は「新」と「拡」
こうして就職氷河期世代はどんどん追いつめられているのですが、1つの企業にとどまるためには競争に勝ち続けるしかありません。そのため、逆転の一手は外に出るよりほかありません。どのような先に出て行けばよいかは、大きく2つの方向性があると考えられます。
1つは新しく起ち上げる企業や事業部門の上位層を目指すことです。どんな組織でも経験豊富で組織全体を統括できる人材は不可欠です。タイミングや人脈次第ですが、そうしたポジションにうまく入れると、自身の経験を活かしながら楽しく働くことできるでしょう。
もう1つは拡大中の組織。どんどん大きくなる組織では常に人手不足で、それは管理職候補も同様です。そうしたポジションで「敗者復活」を目指す方は近時増加しています。
まとめ
就職氷河期世代ほど、苦労が報われていない世代はないと思います。しかし、苦労というものは報われるのに時間を要することはあっても、決して無駄ではなく、苦労した状態と、苦労していない状態では前者の方が必ず社会に役立てるはずです。今からできることは限られていますが、その苦労に報いるために、少し違った観点から自身のキャリアプランを見直すことも必要です。
当研究所では様々な分野で苦労し、競争し続けてきた就職氷河期世代の専門家が貴方のより良いキャリアプラン策定のお手伝いをさせていただきます。下記よりお気軽にごそうだんください。
コメント