「死後離縁」の増加傾向と実質的な意味

離婚

死後離縁が増加傾向

婚姻関係は配偶者の死亡により当然に終了します。しかし、婚姻により配偶者の親族関係になっており、この関係は姻族関係終了届を出さないかぎり終了しません
子どもがいる場合、子どもが配偶者の両親をはじめとする親族との関係維持を希望することもあり、この届出は出さないことが多いのですが、近時、これを提出する「死後離縁」が増加しています。
本稿ではその背景と、実質的な意味を説明します。

姻族関係でも稀に扶養義務が命じられることがある

配偶者が亡くなると、その先、一人で生きていくか再婚するか、の判断をすることになります。まさか、亡くなった配偶者の介護を任されるなど考えないケースが多いですが、現実には、子のいない高齢者は誰かに介護してもらわなければならず、亡くなった子の配偶者を頼るケースが増加しており、これが死後離縁増加の要因となっています
姻族でも、法律上は親族の扶養義務がありますが、疎遠になった親族の面倒を見る法的な義務は当然には発生しません。しかし、本当に他に頼り手がなく姻族に頼るしかない場合、裁判所は姻族に扶養義務を命じざるをえません。これを避けるために姻族関係終了届の提出が増加しています。

特別寄与の取得も難しい

姻族はいくら介護を頑張っても元配偶者の両親から相続を受けることはできません。ただ、その財産の貢献に特別の寄与があった場合はその分をもらえるという規定があります。
しかし、この請求を裁判で行うにはかなりハードルが高く、事実上請求は困難であるというのが現状です。

一生の関係でないならどこかのタイミングで

再婚する場合、過去の配偶者との姻族関係は終了するのが普通ですが、そうでない場合、子どもの意向もあり、姻族関係はそのままにしておくケースは多いです。姻族関係解消に実質的な意味が乏しいのは上記のとおりですが、一生の関係でないなら、子どもの独立などのタイミングでスッキリしておく方が自分の老後のために安心だ、というのが、死後離縁が増加している実質的な背景だと言われています。

まとめ

離婚の場合と異なり、死別の場合、姻族関係が残り、介護や相続において若干の問題が生じる可能性があります。もしそうした不安がありましたら、相続経験の豊富な弁護士・公認会計士に、下記よりお気軽にご相談ください。

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