相続・事業承継を思い立った段階で最初にすべきこと

相続・事業承継

相続・事業承継は早期着手を

相続・事業承継は、なかなか思うように行かず、様々な障害が次々と発生しがちです。そのため、今すぐ相続や事業承継を始めるという段階ではなくとも、健康診断で気がかりな結果が出た際など、ふと、相続の事がよぎった際に、早めに考え始めた方がよい点がいくつかあります。本稿では、過去の相続・事業承継の失敗事例を基に、こうした段階で早めに何を考えていけばよいか整理します。

後継者をどうするか

事業承継は何より後継者が9割です。後継者との相性が悪ければいくら手続で頑張っても事業承継はうまくいきません。こうした後継者の選定には時間を要しますし、決定後も手続がたくさんありますので、何より早めに考えるべきポイントです。

事業承継のおおまかな手続の流れと役割分担

事業承継の失敗事例として多いのが、現経営者がこれを特定の人物に丸投げし、時間的余裕もあることから、組織全体として危機感がないケースです。これでは、いつまでたっても先送りするだけで、いざ事業承継が間近に迫った段階で大慌てすることになります。いつまでに何を誰が決めるか明確にして、急ぐ必要はありませんので、着実に物事を進めていくべきです

株式の配分と最終的な割合の調整

事業承継により、自身が保有する株式を相続人に配分するにあたっては、これを誰にどう配分して、最終的にどのような割合に落ち着かせるのか、早めに考えるべきです。ここではいくつかの観点がありまます。

  • 相続発生時までは自身の発言力を残しておく
  • 事業承継後、後継者が円滑に業務遂行できる議決権割合を確保させる
  • 後継者以外の相続人の納得を得られるよう調整する

この株式配分の着地点を早めに調整することで、株式の承継に関する税務戦略も広く練ることができます。その意味でも、いつ誰にどのように株式を承継させて最終的にどうなるか、早めに描くとよいでしょう。

現経営者の理念や考え方の承継

現在、事業が円滑に遂行されているのは、現経営者の理念や考え方が組織を一体化して動かしていることによるものです。経営者が交代して全く違うことを始めるようでは、信頼も人もついてきません

そのため、後継者に、従業員に、それぞれ、現経営者の思いを丁寧に伝える機会と時間が必要です。これは朝礼のような簡易かつ短時間のものでもよいですし、ランチミーティングのようなかたちでもよいでしょう。自由なやり方の中で、繰り返し伝えることで、確実に承継すべき内容で、時間を要するため、早めに着手すべきポイントとなります。

後継者と現場との引き合わせ

後継者が、外部から招聘した人物や、これまで一度も会社に姿を現したことのない、経営者の子息であるような場合、現場の従業員が、急に後継者に忠実に活動することは期待できません。後継者が決まり次第、早めに現場と顔合わせすべきですし、できれば、部長職などを短期間でも担当したうえで、新たな経営者に就任するというステップを踏むと、スムーズに承継が進みやすいです。

納税資金の確保

資金繰りがギリギリの会社であったり、被相続人の相続財産に流動資産のほとんどないケースの場合、相続・事業承継に伴う納税にあたって現金の用意に慌てることとなります。このケースは意外に多く、予め税理士に相談のうえ、想定される税金をどこから支払うか、きちんと頭に入れておくとよいでしょう。

現経営者の余生の過ごし方

現経営者が、事業運営から外れた後、どのような余生を過ごすかも意外に大事なポイントです。多くの場合、承継後も、当面の間は顧問として勤務を求められるでしょう。それは、事業承継後のスムーズな事業運営やトラブル対応に、前経営者の力が必要だからです。

ここで大事なのは、過干渉も無干渉もタブーだということです。後継者から頼られるからといって、何でも前経営者が解決していると、後継者が育ちませんし、逆に何も支援しなければ、後継者だけでは円滑な事業運営に支障を生じることも多いからです。

どの程度干渉するかをイメージしたうえで、それ以外の時間で余生をどう楽しんでワークライフバランスをとるかという観点が実は大変重要です。

まとめ

以上のように、相続・事業承継の事をそろそろ考えようかと思った際には、早めに考えた方がよい事項は結構あり、範囲も多岐にわたります。当研究所では、経営やITにも詳しい弁護士・公認会計士が広い分野にわたって、相続・事業承継のご相談に対応しております。まずは下記より、お気軽にご相談ください。

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