黒字企業で早期希望退職増加のカラクリと生存戦略

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黒字企業でも早期希望退職を採用する企業が増加

早期希望退職は赤字企業が将来的な収支の改善のために採用することの多かった手法ですが、最近では黒字企業でも積極的に活用しています。
早期希望退職は、一方的な解雇ではありませんが、要は人員過多なので、金銭的に優遇するので辞めてほしいという一種のリストラ。黒字企業がリストラする必要があるのか?という疑問があるかもしれませんがこの必要性はありますし、そこから従業員が企業の中で生き抜くポイントも見えてきます。
そこで本稿では、黒字企業の早期希望退職増加のカラクリを説明します。

黒字企業とは?

黒字企業とは、端的に言えば利益があがる会社です。ただ、この「利益があがる」は会計的にかなり難しい概念で、本業は斜陽であるにもかかわらず、本業以外のM&Aや不動産売買であがった利益のおかげで黒字、という企業もあります。
そのため一言で「黒字企業」と言っても必ずしも余裕のある企業とは限りません。そこで我々公認会計士は黒字の質を確認するために、利益内容を分解したり、期間比較したり、営業キャッシュフローの増減と照合したりして確認します。
実質赤字企業だが脇役部門が頑張って黒字の企業は本業でのリストラが必要ですし、本業の業績が落ち始めている企業も先手でコスト削減を始めなければいけない場合があります。

どんな企業にも成長には限界がある

企業には創業期・成長期・成熟期・衰退期があり、これは大企業では事業部門毎に現れます。その事業部門が成長期にあるならば、どんどん人を増やして売上規模を高めていくことが最善ですが、この成長期の終わった事業は、人やその他のリソースを増やしても売上は伸びず、リソースを絞って効率経営を行っていくことで利益を残すことができます
黒字だが早期希望退職を募集しているのは、多くの場合、この成熟期に入った事業部門の人員整理が目的だと推察されます。

新規事業へのシフト

こうして移行期に余った人員は新しい成長分野を探して、新規事業に携わっていくことがファーストチョイスとなります。しかし、慣れ親しんだ事業を離れて新規事業に従事することに心理的に納得できない者や、能力的に対応できない者は辞めてもらうしかありませんし、新規事業も1からノウハウを形成していたら遅く、他社での経験者を新しく入れるため、なお一層、余剰となる人員は増える傾向があります。

強みを磨いて企業に貢献せよ

こうして、企業に残れるのは、成熟期に入った事業でも創意工夫を継続して効率運営を持続できるスペシャリストと、新しい事業にやる気・能力両面で柔軟に対応できる人材。要は企業のやりたいことに対して貢献できる人材だけが企業に残ることができ、貢献度の低い従業員は事業の転換期に居場所を失う可能性が高いということです。
終身雇用・年功序列はもう保障されず、企業は生き残りの場、従業員側はそう認識すべきですし、企業としても従業員の意識を高めることで、既存事業の衰退を遅らせ、新規事業の成功確率を上げることができるでしょう。

まとめ

人手不足の中、採用した従業員には長く働いてほしいのはやまやまですが、どうしても事業活動の波の中で余剰人員が発生するのは現代的に避けられず、新陳代謝が必要です。自社の事業が今、どのような状態で、次の戦略をどう構築するか、慎重な判断を求められるポイントです。
当研究所では人材マネジメントやリスクマネジメントの経験豊富な弁護士・公認会計士・MBAが御社の事業分析や人材戦略など多方面にわたり多様なサポートを提供いたします。下記よりお気軽にご相談ください。

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