意図せずに表示される性的広告の問題
我々の生活に検索エンジンはもはや欠かせませんが、こうした検索エンジンを利用する際、性的な広告が表示されることに頭を悩ませる方は多いです。自宅には性的なコンテンツは一切なくとも、最近では小学生もスマホを使いこなす時代。スマホを通じて性的な広告に触れるのは教育上好ましくないためです。性的な広告だけでなく、暴力的なコンテンツ、男尊女卑や差別を助長するようなコンテンツ、特定人物を過剰に攻撃するコンテンツなどもオンライン上で頻繁にレコメンドされ、触れる機会が増えていることに、生活を乱される苛立ちや危機感を感じている方も多いです。しかし、技術社会の現代においてこれは簡単そうに見えて意外に難しい問題を抱えています。そこで本稿では、性的広告を見ない権利を行使するためにはどのような対策をとればよいかを解説します。
性的広告掲示も表現の自由と営業の自由
こうした広告やコンテンツを法律で直接記載できれば早いのですが、それはなかなか簡単ではありません。性的コンテンツを広告する業者も、プラットフォーム提供事業者も憲法上の表現の自由があり、営業の自由があるためです。自社商品を販売するために広告を出す、広告収益を増加させるために人気コンテンツを上位表示する、などといった行為は一定限度で憲法上保障されているため、すぐに法律で規制することはできません。
ただ、犯罪を誘発するものや、過剰な性的コンテンツ、子どもに悪影響を及ぼす広告などは法律で規制可能で、要はその規制範囲がまだまだ狭いのが問題です。社会的な問題意識を高めていくことで、憲法上の問題も解決できる可能性はあり、特に犯罪と性の問題は、社会全体で意識を高めていく必要性の高い分野であるといえます。
ブロック技術の限界
見たくない内容を見せられない技術は発展しています。
SNSではブロック機能があり、電子メールでは一方的に送付されるダイレクトメールは配信停止処理できるものであることが法律上必要です。しかし、違法な発信者はSNSでブロックしてもアカウントを変えて繰り返しアプローチしてきたり、ダイレクトメールに配信停止を設けない、あるいは配信停止処理をしてもすぐに再登録してしまうなど、いたちごっことなり解決しない例が多いです。検索エンジンにおいても、一定の記事や広告をブロックする機能はありますが、自分は見たくなくても他者のクリック率の高いコンテンツはどうしても表示件数自体が多くなり、例えば国内のニュースサイトでは、上位が犯罪や性的問題ばかりになることもよくあります。こうしてブロック技術には限界があり、そもそも社会全体としてそうしたものを見たくないという機運が高まらなければ表示は減少しません。
倫理性の乏しい掲示板などの使用は控える
検索エンジンや各種プラットフォームは運営者の倫理観次第で、その場の治安が大きく左右されます。「儲かれば、盛り上がれば何をしても良い」という倫理観のプラットフォームでは広告が性的コンテンツばかりで、しかもクリックしてもいないのにそのバナーの上をカーソルが通過するだけで広告先のサイトに飛んでしまうものさえあります。こうした倫理観のないサイトはまず使わないようにすべきです。
大手の検索エンジンはこうした点にはある程度配慮しており、性的広告が表示される頻度は低いものの、精力剤などの広告は依然多く、ニュースは性的なものが上位表示され、コメント欄には犯罪者に対する罵詈雑言が溢れることがまだ日常のままです。大手検索エンジンだからとそれだけで信用するのではなく、内容をしっかりと吟味しながら利用するサイトを選んでいく必要があります。
情報検索は生成AIに任せる
検索サイトなどで不快なコンテンツに触れるのが嫌な場合、情報検索をすべて生成AIに任せると一定程度問題を解決することができます。検索エンジンを見る役割を生成AIに委託するわけです。生成AIを活用するうえで注意すべきなのは、アウトプットの信用性は人間が判断する必要があることであり、そのため、我々は検索エンジンで多角的に情報収集するわけですが、検索エンジンで上位表示されたページに書かれている内容がそもそも正しいのか、作者の勘違いや、時代の変遷により今では通用しない情報になっている可能性まで検証しなければならないことを考えると、直接検索したところで事実性の検証が進むというわけではありません。そのため、(不快な)広告の表示される検索エンジンの閲覧を回避する目的で生成AIの活用は十分に考えられる選択肢です。
まとめ
以上のとおり、今すぐには見たくないコンテンツや広告の表示を一掃するのは難しく、今の制度を精一杯活用してその表示を地道に減らしていくことが必要です。ただ、完全に諦める必要はなく、新しい技術を速やかに取り入れ、社会全体の意識も変わっていけば今後、どんどん環境が改善される可能性はあり、なんとなく過ごすのではなく、こうした動きにも注意しながら生活していくことが大事なのだと考えられます。
当研究所では、ITに詳しく生成AIも活用する弁護士・弁理士・公認会計士・中小企業診断士・MBAが、御社のDXについて1から10までサポートする支援を行っております。下記よりお気軽にご相談ください。
コメント