広告ブロッカーの法的問題と広告のあり方

知財戦略

広告はどうあるべきか?

動画を見る際などに、広告をスキップしてくれる仕組みがあります。広告を見たくない層には有効な仕組みですが、それでは広告ビジネスが成り立たず、品質の高い動画を作成する人が減少してしまいます
そこで本稿では、広告ブロッカーの法的問題に触れながら、広告の適切なあり方を模索したいと思います。

広告ブロッカー使用は違法か?

広告ブロッカーの使用は、刑事上は特に抵触する法律はなく、犯罪になることはないと考えられています。
他方で民事上は、各動画サイトのルールに依拠しており、特にブロッカーの活用を禁止していなければ民事上も問題ないことが多いのですが、広告時間が延びることによって利用代金が減額されるサブスク契約など、明示的な禁止がなくとも契約の趣旨からブロッカーの使用が禁止されていることがわかる契約もありますので、注意が必要です。

広告がなければエンタメ産業が衰退して、広告も有効でなくなる

広告ブロッカーを皆が使用すると、広告は誰にも見られなくなります。「テレビでもCM中はスマホを使うからCMなんか誰も見ていない」と言われるとその通りなのかもしれませんが、広告が本当に誰にも見られないと、広告を出す企業がなくなり、広告代金によりクオリティの高い作品を提供している動画作成者が減少して、エンタメ業界が衰退してしまい、人気コンテンツにあやかって自社商品の知名度をあげようという仕組みも崩壊してしまいます。

不愉快な広告はいずれ淘汰され、マナーは守る必要がある

広告を見る文化がなければエンタメ業界は大きく縮小するのですが、広告ブロッカーが現れた背景には、見るに堪えない不愉快な広告や、体型の悪い人を貶め、過剰な効果をアピールする美容・ダイエット関連商品など、違法すれすれの広告が多く出てきたためです。
広告を出す側も費用対効果にあったリターンを得るためにはギリギリまで攻める必要がありますが、視聴者が不快に感じる広告などは、動画サイトに通報の上、制限してもらうのが筋でしょう。

まとめ

広告を見なければ、エンタメを中心とした産業が育たず、面白い動画が大幅に減少するが、不愉快な広告や誇大広告を無理に見る必要はなく、広告出稿者はこのバランスを考えながら、どこにどのような広告を出すべきか、考える必要があります
当研究所では、知的財産に詳しい弁護士・公認会計士が、御社のブランド戦略や広告戦略を多面的にサポートいたします。下記よりお気軽にご相談ください。

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