好調なのに社員が辞める理由

顧問契約

会社は順調なのに社員が離職するケースが発生

一般論としては、従業員は業績好調な企業で働きたいと思います。赤字会社に勤めているといつクビになったり、給料をもらえなくなるかもしれず不安だからです。そのため、転職市場の好況な最近では、業績の悪い企業から良い企業へと移る人は増えています。
業績が悪いと不採算部門を閉じて人員削減に向かい、業績好調だと人を増やしてより成長速度を増そうという傾向があることからも、業績好調な企業の人気は高まりがちです。
しかし、業績が好調になった節目で従業員が大量離脱するケースもしばしば報道されています。なぜこのような現象が起きるのか、本稿ではそのメカニズムを解説します。

創業期から成長期へのシフトチェンジ

創業したての頃は、「生き残る」ことが至上命題です。体制もまだ整っていない段階ですが、とにかく発生した仕事は誰かがこなす。戦争みたいな職場環境が続きがちです。ただ、こうした忙しい状況に前向きな方もしばしばおり、苦難をともに乗り越えた信頼感が組織内に芽生えやすいのもこのフェーズにありがちです。
ここで、何かの商品がSNSでバズって一気に成長期フェーズに入った場合、経営者はどうしましょう?セオリーでは中間管理職を新設するなど組織体制を整え、権限移譲を進め、役割分担を明確化して活動を合理化することです。これにより、生産性を向上させて組織を一気に成長にもっていくわけですが、失敗しがちなケースとしては、①創業期のまま、誰かが仕事をこなせばよいという組織のままである、②権限移譲をせずに代表がすべてを取り仕切るままである、といった要因が考えられます。これでは組織は、せっかくの機会を活かせずに成長できません。

キャリアプランが重要

就職活動において売り手市場が続く中、働き手が最も重視するのはキャリアプランニングです。どんな仕事をしてどんなスキルを得て、最終的にどうなればよいかを常に考えて次の転職先を探しています。創業間もない若い企業に入ってくる従業員は、創業のノウハウを獲得して自分も創業しようと考えている方が多いはずです。そんな従業員に長くいてもらいたければ、そのノウハウを小出しにしながら時間をかけて少しずつ教えていく手法もありでしょう。
ただ、ほとんどの方は成長速度を重視しているため、欲しいものが得られないと悟るや、すぐに他所にいってしまいます。そのため、優秀な従業員をつなぎとめるには、まずはそのキャリアプランニングを正確に聞き出し、従業員が欲しいものを与えるため長くいて欲しいという方向で話し合うことが重要です。

業務のルーティン化のメリット・デメリット

成長期の組織ではやることはいくらでも発生します。ここで、新しく発生した業務のうち、反復継続して発生する業務をルーティン化して特定の従業員に任せる手法がありますが、これにはメリット・デメリット双方あります。
メリットとしてはルーティン化して特定の方が担当することにより、ノウハウが蓄積され、生産性が上がる点が挙げられます。また、例えばホームページの更新など、「気づいたときにやれば良い」というような業務をルーティン化することにより、適時な情報発信が可能になります。
逆にデメリットとしては、ルーティンであるがゆえに個別事情を考えた対応ができなくなったり、仕事に充実感を得られにくくなる点が挙げられます。
そのため、定常的に発生する業務をルーティン化するか否かは慎重に判断する必要があります。

従業員教育と評価の視点

組織として成長するためには従業員教育が不可欠です。しかし、教育として何が必要かはなかなかわかりにくく、ついつい年配者の講演といった最もつまらない内容で終わらせてしまいがちです。
従業員教育の第一歩は、何より自社商品のファンになってもらうことで、ファンになってもらえれば営業や広報の質は各段に上がります。そのため、従業員教育として、複数の階層や部門にまたがった混成チームで自社商品を徹底的に討論する場を設けることなどは有効です。
しかし、何でもかんでも教育で植え付けることは難しいです。そうした場面では評価基準の中に、従業員が積極的にやらない活動を前向きにこなしていることなどを入れ込んで、評価を欲しい人に活動を促すことも一策です。成果だけでなく成果につながる活動も評価するコンピテンシー評価を取り入れる企業は増えています。

まとめ

企業が好調な際は、一般的には従業員をつなぎとめやすいのですが、どうしても収益や業務ありきで従業員がおざなりになったり、ただ業務をさせるだけで従業員の成長を意識した活動がなければ、従業員は成長の場を求めて転職してしまいます。
企業が好調な時は従業員も報酬と成長を両得できるチャンス。そうした時期にきちんと従業員とコミュニケーションを交わして必要なものを与えていくことが、従業員をつなぎ止め、成長していく組織に欠かせない観点となります。
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