アリシア破産で困る人たちから学ぶ契約の「選び方」

事業再生

エステのアリシアの破産によって長期契約者が被害に

大手医療脱毛のアリシアクリニックの破産により、長期契約して代金を前払いしたがそのお金が返ってこない被害者の報道がされています。
裁判所を通じた破産手続では配当手続が裁判所の監視の下で厳格になされるため、債権額に比してほんの数%しか返ってこないケースが多いのが実情です。
契約相手に代金を支払った後に破産されるのが最悪のシナリオで、本稿ではそうならないよう、どのような点に留意して契約手続を進めればよいかを解説します。

前払はできる限り避けよう

企業にとって重要な金銭に関する数値は、利益額よりも、手元現金額です。キャッシュがマイナスになると黒字倒産の可能性も出てくるため、苦しい企業ほどより高額を早めに前払いさせようと画策しがちです。
つまり、「一括前払以外は受け付けない」という相手の説明は、資金繰りに苦しいことの自白であることも多く、この段階で、「ここと契約して大丈夫なのだろうか?」と冷静に考え直してほしいところです。資金繰りに余裕のある業者は売上の方が重要であるため前払にはこだわりません。
前払はできる限り避けるのがリスク回避のセオリーです。

双方未履行の契約は最終的に解消される

例えばエステの契約において、半年契約で30万円を一括で支払うと、この会社が破産してしまうとこの30万円はほぼ返ってきません。これに対して、毎月5万円の契約であれば破産以降の月の支払をストップし、最終的に対価を受け取っていない部分の支払は免れることができます。
契約の基本は双方が対価を同時提供する同時履行であり、契約内容をそこに近づけることが重要です。

契約期間や金額、支払条件に疑義があれば口コミ等を調べよ

通常であれば対価の履行は同時履行であり、一方が履行しないのであれば相手も履行しないのが原則です。この原則に反して、やたらと長い契約期間を拘束したり、金額が高かったり、前払いなど支払条件が一方的であるような場合、口コミなど、ウェブ上の他者の評価を探してみるべきです。倒産の兆候のある企業は何らかの異変が起き始めていることが多く、これに気づけるのは常連客またはその企業をよく利用する客であることが多いです。

相手のサービスや営業所に異変があれば契約を先延ばしする

倒産の兆候のある企業の最もわかりやすい特徴は、資金繰りショートを恐れてとにかく早めに代金を受け取ろうとすることですが、そのほかにも、サービスの担い手が安い人材に代わっていたり、営業所の掃除が行き届いていなかったり、ちょとした経費削減の結果が目に付くこともしばしばあるため、こうした点が気になったら、契約を急がずに逆に先延ばしすべきです。
そこで相手が契約を急かせて来たらいよいよ倒産の兆候が強いと判断しやすくなります。

まとめ

前払した債権が破産債権になるのはどうしても避けたいこと。しかし、契約相手は破産寸前であることは絶対に言わないため、自身で情報を集めて契約をするか判断する必要があります
当研究所では、法人・個人ともに破産手続経験の豊富な弁護士が、契約前の相手の破産リスクを考慮した様々な対策を寄り添い型で慎重かつ丁寧に分析し、対応策を助言いたします。下記よりお気軽にご相談ください。

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