奈良の訪問客は増加傾向だが夜間人口は少ない
奈良は京都と「二大修学旅行都市」と言われることもあります。奈良時代の史跡が残されており、歴史風情溢れ、都会の喧騒もなく落ち着いた都市だからです。実際に、奈良公園や東大寺などは週末は非常に多くの人でごった返しています。
しかし、夕方になるとその人の波は一斉に駅から京都・大阪へ向かってしまい、夜には静かな街並みが戻ります。これが商業機会の損失ではないかと話題になっており、本稿では奈良がどうすれば観光都市として成功できるかを検証したいと思います。
奈良の訪問客が多い根拠
奈良市は週末の日中は本当に多くの人でにぎわっているのですが、それを裏付けるデータとして鉄道の特急の本数や利用者の数が挙げられます。
近鉄はもともと大阪~奈良、奈良~京都間を特急を走らせていましたが、さらに観光特急あをによしをどんどん走らせています。この特急ですが、その日の朝であれば予約をとれますが、発車数時間前には満席になる人気ぶりです。
これにあやかったか、JRも大阪~奈良、奈良~京都間に特急を走らせる試みを始めており、それだけ奈良へ電車で訪れる人は多いのです。
一時的な課題はホテル
夜間人口が少ない一次的な理由はホテルの少なさにあります。これは同じく京都へ行く「ついでに立ち寄る」宇治や、全国レベルでは札幌などにも共通の課題で、人流はあるにも関わらず受け入れ先がないために商機を逃しているのです。
京都は完全にキャパオーバーで違法民泊などでかろうじて受け入れている状況で、近隣エリアにはチャンスですが、宿泊施設、それもインバウンドが選好するような施設が絶対的に足りていないのが問題です。
ホテルはあっても、〇〇がなければつまらない
では、ホテルを誘致すれば観光客が定着するのかというとそうではないでしょう。寝るだけで、娯楽のないエリアの魅力は低いからです。温泉と郷土料理があれば宿泊施設だけで観光客を引き止められるのでしょうが、奈良はそうはいかないようです。
そのため、観光客を定着させるためには、夜間営業や飲食店や娯楽施設なども十分な数営業している必要があり、かつ、その近接性も重要です。
奈良に夜間人口を増やすためには、近鉄奈良駅前の賑やかさと宿泊施設を組み合わせることが不可欠です。
地域ぐるみの街づくりが不可欠
奈良に観光客を定着させる方策としては、ホテルだけを増やせばよいわけではなく、ホテル周辺の店舗も充実させて地域ぐるみの街づくりが必要です。
当然、地元住民の中には夜間騒がしくなったり、治安が悪化すると反発も大きいと思われます。ただ、地域にお金を落としてもらうためには、少なからず、観光特化のエリアを設置することは避けられません。色々と調整することは多いですが、どこか観光客誘致エリアを設け、宿泊施設と娯楽施設を集中的に誘致する取り組みができるかが、奈良がこのまま「京都へ行く途上の立ち寄り地」で終わるか終わらないかの分水嶺になりそうです。
商機を活かすためには専門家に相談を
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