大谷選手の偽ユニフォーム販売。法律違反をかいくぐれないこれだけの理由

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大谷選手の偽ユニフォーム販売で被疑者を書類送検

大谷選手のユニフォームは大人気ですが、その公式ユニフォームにはドジャースの権利が乗せられておりMLBが管理しています。
円安もありこのユニフォームは高いのですが、格安で偽物のウニフォームを販売した高齢男性が商標法違反で書類送検されたという報道がありました。
商標法違反であればやり方次第で法の網をかいくぐれそうにも見えますが、そうではありません。本稿では、大谷選手の偽ユニフォーム販売を少し工夫しただけでは全く法律違反を免れないことを解説します。

商標法違反は商標そのものを使用しなくても該当する

今回のケースの容疑は商標法違反です。おそらくドジャースのロゴでMLBが権利を保有している日本で登録されている商標に「似た」ロゴを使用したものと推察されます。
商標法違反は特許庁に登録されている商標そのものを使用しなくとも、これに似たマークや名称を使用すれば成立します。何を持って「似ているか」を判断するかは難しい問題ではあるため、本稿では多くは語りませんが、偽商品を売るためには本物に巧妙に似せる必要があるため、多くのケースで「似ている」と判断されるでしょう。

不正競争防止法2条1項1号の要件

大谷選手やドジャースは世界規模で有名であるため、仮に商標法違反にならなくとも、不正競争防止法にひっかかる恐れがあります。
不正競争防止法2条1項1号は、周知性のある表示を使用して消費者の誤認混同を生じれば違法だと示しています。大谷選手やドジャース、さらにはそのユニフォームデザイン等は日本で十分に周知されており、その偽ユニフォームが出回ると「本物かもしれない」と購入希望者は誤認してしまう可能性が高いため、法律違反となる可能性が高いです。

不正競争防止法2条1項2号の要件

不正競争防止法2条1項2号は、周知性を通り越して著名である表示に関しては、消費者の誤認混同を要せずに違法だと示しています。
大谷選手やドジャースは明らかに著名ですので、大谷選手の偽ユニフォーム販売は、この条項で最後は逃げ道なく法律違反になるでしょう。

不当な目的も明らか

不正競争防止法で刑事手続を進める場合、1項では「不正な目的」、2項では「不正な利益を得る目的」が必要です。一般的には内心の意図を証明するのは難しいのですが、偽ユニフォーム販売などではこの立証も容易であるため、刑法犯成立を争うのは極めて難しいでしょう。

まとめ

以上のように、今回の報道では商標法違反での検挙でしたが、工夫をこらしてその抜け道を探しても、結局は不正競争防止法や著作権法など他の法令で逃げ切りが許されないように法律は構成されています
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