大手家電量販店が中級デパート化するこれだけの理由

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家電量販店の取り扱い商品の幅が広がり中級デパート化の減少

何か電気製品を購入しようとする際、多くの方はまずネットで候補商品を探し、そこで決断できればネットで購入するのでしょうが、決断しきれない場合、実物を見に行きます。行先は駅前の大手家電量販店であることが多いのではないでしょうか。理由は商品がたくさんあるからです
しかし、この大手家電量販店があまり高価格帯ではない日用品などの商品取り扱いを増加させています。専門店は専門に特化すべき、というセオリーにあえて反する理由は何か?本稿ではその背景を紹介します。

電機製品事業は大手が独占状態

20年ほど前までは地元の商店街で電機屋もありましたが、最近ではほぼなくなりました。小規模な電機屋では顧客ニーズを満たす品揃えを提供できないからです。その結果、規模の小さい企業から順番に淘汰され、今ではほぼ大手が市場を独占している状態です。
独占といってもオフラインの話で、購入する商品が決まっている人は店舗で実物を見るまでもなく、メーカー直営のサイトや、総合オンライン販売サイトなどで直接購入します。
というわけで、大手家電量販店はオフライン販売市場はほぼ独占していますが、オンライン販売の拡大という脅威に晒されています

市場成長率は鈍化。新しい成長分野の模索

電気製品市場自体の成長率は鈍化しています。日本製の家電製品は品質が良く、ほとんど壊れないため、買い替え需要が発生しにくいためです。
市場の成長率が低いと待っているのはジリ貧の将来。何か手を打たなければどんどん状況の悪化が懸念されます。そこで大手家電量販店が目に付けたのが中級デパート事業です。

「そこに行けば実物を見られる」という魅力

ほとんどの方が、大手家電量販店に行く理由を聞かれると、「実物を直接見て、検討できるから」と答えるでしょう。大手家電量販店は顧客ニーズの高い商品を多数用意し、訪れた大多数の方に新しい情報を提供できる、顧客としては行ってみるとネットでは調べきれなかった商品も発見・体験でき、購買の意思決定に有意義な情報が得られる、「そこに行けば実物を見られる」「そこに行けば有意義な情報が得られる」という期待があるから、時間と交通費をかけて大手家電量販店に足を運ぶのでしょう。
ここで、大手家電量販店は保存の難しい食料品や高級嗜好品はあまり扱いません。寝具や旅行用品など、中間帯の価格だが慎重に見極めて購入したいと顧客が考える商品を中心に提供しています。その理由は、「そこに行けば実物を確認できる」という顧客の期待に応える点にあることは明らかでしょう。

本家デパートとの差別化

駅前にある家電量販店はデパートが競争相手に見えますが、家電量販店は絶対に本家デパートとは競争しません。ブランド力で勝ち目が低いためです。
そのため、家電量販店は、本家デパートが取り扱う高級品は取り扱わず、少し価格帯をずらして競争を回避します。中間帯の商品を取り扱う理由はまずここにあります。
そして、家電量販店にとって本家デパートでは敵ではなく味方。異なる商品を提供することでお互いに自社への客が相手の店舗にも回遊し、ウィンウィンに訪問顧客を増やす仕組みを意識して事業活動を構築しています。
家電量販店が中級デパート化している背景にはそういった思惑がはっきりと見て取れます。

まとめ

以上で説明したように、家電量販店が中間帯の商品ラインナップを広げる背景には老舗デパートとの共存まで意識した深い意図があることは、なかなか興味深いところです。
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