氏名商標に関する商標法4条1項8号の登録要件が緩和
商標は人の氏名も登録できます。しかしその要件は昨年まではかなり厳しかったです。
例えば私がとある商標を出願する場合、昨年までは全国のその氏名の方から承諾書をもらう必要があり、事実上不可能でした。
しかし、本年からは承諾書は同姓同名の方の内、著名人だけでよくなりました。ネット検索して特に著名な方がいなければ、私は①必要性があり、②違法な目的でなければ、これを商標出願することができます。
本稿ではこうした氏名商標についての疑問点に答えたいと思います。
氏名商標の使途
そもそも氏名商標はどのような場合に使うのかという点ですが、日本では洋菓子店の店名にシェフの名前を入れるケースが散見されます。「誰が作ったお菓子であるか」を明示するためのブランディング手法で、横文字の名前が記載された看板や商品パッケージを保護するために商標権の獲得が有効です。
我々士業者も商標をとるまでもないですが、事務所名に氏名を入れてブランディングするケースは多く、今後ひょっとしたら商標登録が進むのかも知れません。
事実上「早いモノ勝ち」に!
こうして氏名について商標登録を他の同姓同名の方の承諾なくできるようになると、とある氏名の商標権の取得は事実上早いモノ勝ちになり、出遅れるともうとれなくなってしまうおそれがあります。
これは商標の性質上やむをえないもので、自身の名前で何かの商品サービスをブランディングしたければできる限り早く商標出願すべきです。
異なる領域なら被らない
商標は商品分類毎に出願します。例えばコンサルティング分野である商標を登録したとしても、別の同姓同名の方はそれ以外の分野では商標出願することができます。
そのため、実質上問題となるのは、同姓同名の方が同時代に(商標権は10年毎の更新制)同一分野でぶつかった場合に限られるでしょう。
名付けに影響?
こうして同姓同名が同一分野で衝突すると問題になる可能性が懸念されると、子どもの名付けや、新ブランドの名付けの段階で今よりもさらに奇をてらったキラキラ名称が使用される可能性が高まるかもしれません。個人的にはあまり奇はてらわない方がよいと思いますがこれも時代の流れかもしれません。
まとめ
同姓同名の方とは会いやすい人もほぼ会わない人もいるかと思いますが、同一分野のライバルであると、今後、商標に関する紛争も懸念されます。
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