台風接近時に外出を促すと責任が発生するおそれ
台風10号が接近しています。台風が接近すると慌ただしくなり、イベントや予定が中止・変更になるケースが多くなります。これは、台風接近時にお客や取引相手・従業員らを外出させて事故が起こった場合、賠償責任が生じてしまうためで、リスクマネジメントの一環として判断する必要があります。
そこで本稿ではこの判断のポイントについて説明します。
台風の動きは予測不能
科学が進歩し、雨雲レーダーが高精度で雨雲を探知できる反面で、台風の動きはなかなか気象庁も正確に読み取ることができず、今回の台風10号の動きも二転三転しました。
こうした台風の動きが正確に予測できない中では、最悪の事態を想定した判断が基本であり、台風が急接近する、台風の目はまだ遠いうちから風雨が強まる可能性などを考慮して延期やキャンセルの判断をすべきです。
交通が止まるおそれ
少し強い雨が降ると、東海道新幹線が止まるように、台風が接近すると鉄道が計画運休するなど交通が止まる可能性が高まります。
交通が止まるということは、イベント参加者や取引先・従業員らが帰宅できなくなることに配慮が必要です。そこで、イベントは中止、取引は延期、従業員には早退やテレワークを促すことなどが必要となります。
風雨による被害のおそれ
台風は風雨による被害が甚大になりがちで、特に雨は、台風がまだ遠くにある頃から強まりがちであるため、対策が必要です。
幸いなことに、短期間に限れば、雨雲はかなり正確に把握できるため、雨雲のある時間帯の外出を避けるスケジュール変更で乗り切ることのできるケースは多いと考えられます。
他方で風は気まぐれで、突風による被害は大きくなりがちであるため、台風最接近時には常に突風の危険があると考え、外出を徹底的に避ける対策が必要です。
予測できる短期間でリスクマネジメントを繰り返す
台風の動きは予測ができませんが、かなり早い段階から中止などの判断が求められます。そのため、延期できる予定は極力、台風通過後に延期し、イベントなど多くの人を巻き込む予定は早めに中止を宣言すべきでしょう。
他方で、会社の業務などはできる限り平常通りに回したいところです。そこで、台風接近時は突風対策で外出を全面的に回避すべきですが、比較的読みやすい雨と交通の対応は数時間単位の短期のリスクマネジメントを繰り返すことにより、平常に近い業務体制を維持することも考えられます。
まとめ
以上のように、台風対策はマニュアル化されているように見えてものすごく現場対応が必要な複雑なものです。慎重な判断を意識する必要が特に高いといえるでしょう。
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