医療機関の倒産が増加
帝国データバンクの報道によると、医療機関の倒産が増加傾向にあります。
割合としては比較的諸規模な診療所や歯科医院が多いとのことです。
医療機関は収益性が高く、社会保険の適用により、お客も利用しやすい業界ですが、それにあぐらをかくと手痛い目に遭うようです。
本稿では、医療機関の倒産対策と、意外にシンプルな業態変化の方針を整理します。
過当競争とターゲッティング
医者の世界で人気の2トップは眼科と歯科です。ニーズが多く、診療ミスのリスクも低いからです。そのためこの2つの科は、特に都心部では過当競争になり、ただ医院を開いただけでは簡単にはお客はつきません。
そのため、こうした過当競争の中ではどの顧客層を狙うか、ターゲッティングが重要になります。
例えば歯科では、最近、子ども向けの歯科がどんどん増えています。子どもの虫歯が増加傾向にあり、子どもは放課後から夕方の時間に定期的な通院が期待できるためです。
こうして、メインの標的を定めてその層をとことん満足させるサービスと環境作りが重要です。
医療分野のメイン顧客は高齢者
サービス産業はお金を持っている層を対象とするのが基本ですが、実情として、お金の有無に関わらず、高齢者の割合が多いです。それは保険がカバーする割合が高く、すなわち、自己負担割合が低いためです。
既にこうした高齢者層は奪い合いになっていることから、プランBとしてどのような層を顧客に引き込むかが重要になってきます。
働き盛り層はなぜ医者にかからないのか?
ここで当然疑問が生じるのは、バリバリに働いていて、お金も持っていて、飲み会などで体調も崩しがちな働き盛り層がなぜ医者にかからないのかという点です。
40~50代の管理職・準管理職層は、はっきり医者の助けを求めています。しかし、自身の職務も多く、時間に余裕がないため、ネット情報の民間療法やジェネリック薬品で我慢しているのが現状です。
ここまで書けばもうわかるでしょう。こうした層を顧客に取り込むには、
①日中だけの診療時間を拡張する
②不安点があればとにかく「休め」という保守的な診断をやめる
ことが必要です。
標的に合わせる経営をしなければ客は来ない
この記事の最初にターゲッティングの話をして、午後遅めの時間に通院が期待できる層として子どもがあり、子ども向けに特化した歯科医院は増えています。ただ、地域によっては過当競争に入りつつあります。
子どもの次の有力な層はその親の層ですが、この層を満足させるためには早朝・昼休み・夜間などに診療時間を拡張し、仕事を続けることを最優先に方策を練らなければならないでしょう。そこまでしないのはまだまだ医療業界の甘いところだと私は思います。
まとめ
収益性の高い業界でも顧客層を選別し、そこに徹底的にコミットした経営をしなければ生き残れません。油断は一番の大敵になります。
当研究所では、経営を知るMBA・公認会計士・弁護士が、御社の戦略全般をサポートします。下記よりお気軽にご相談ください。
コメント