遺言は相続人への遺産分割が完了するまでの手続。保管制度を有効活用しよう

相続・事業承継

遺言通りに相続が進まなければ意味がない

相続で揉めないよう、遺言書を作成するのはごく普通のことです。しかし、この遺言書、書けば終わりというわけではありません。無効な遺言書では意味がありませんし、最終的に遺言通りに相続が進まなければ遺言書を作成した意味がありません

遺言を作成するためには、その時点できちんと意思能力があり、内容を理解できる必要があります。痴呆になってからでは遺言書は作成できなくなるため、早めに作成する方もおられますが、早めに作成すると、遺言通りに相続が進まない可能性も増えていきます。

遺言書作成後の様々な変化

遺言書を作成した後に、相続が発生する前に相続人の1人が亡くなると、その方に宛てた相続財産が行き場を失うこととなります。この場合、残った相続人でこの財産を分けることになりますが、これが喧嘩の火種となる可能性もあります。

逆に、ある相続人に渡す予定の財産を喪失してしまうという可能性もあります。この場合、財産を受け取れなかったその相続人は、他の相続財産の取得を主張するおそれがあります。

また、遺言書作成後に、被相続人の気が変わったり、要介護状態となって特定の相続人が献身的な介護を行ったというような場合も、適切な遺言の内容が事後的に変わる可能性があります。

遺言書はいつでも書き換え可能。しかし・・

遺言はいつでも撤回可能です。そのため、書き換えも自由なのですが、先に書いた通り、痴呆になってしまうと、新たな遺言書は作成できなくなります。

また、手続面においても、公正証書遺言の作成は証人二人を要するなど、作成の負担が大きいですし、自筆証書遺言は無効となるリスクが高いです。実際上、そうそう、遺言書の書き換えは難しいです

自費証書遺言管理制度の活用を

ここで私は、自筆証書遺言管理制度の活用をお勧めします。この制度は一定の法務局に自筆証書遺言を管理してもらう制度であり、管理に先立って法務局の職員による形式チェックがあるため、遺言書が無効となる可能性を下げる(ゼロにはなりませんのでご注意ください)とともに、比較的使いやすい手数料で利用することができます。公正証書遺言よりもはるかに書き換えがしやすく、時間の経過とともに遺言内容を調整したい方にはお勧めです。

まとめ

繰り返しますが、遺言は円満な相続の完結までたどり着いて初めて意義があります。そのためには、早めに遺言を作成したうえで、その後、微調整を繰り返す必要が生じるかもしれません。その際には保管制度の活用がお勧めです。

当研究所では、相続案件の経験豊富な弁護士・公認会計士が、相続・事業承継のあらゆる場面におけるお困りごとに対応しております。下記よりお気軽にご相談ください。

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