再生計画案を銀行に受け入れてもらうためのちょっとしたコツ

事業再生

私的整理手続は、銀行との直接交渉

裁判所を介さずに、金融機関だけを相手として直接交渉する私的整理手続が広まっています。買掛金の残っている取引先などには迷惑をかけず、最も金額の多い金融機関と集中的に交渉できることには大きなメリットがあります。

リスケジュールで済むようであれば、おそらく高い確率で金融機関は提案に応じてくれます。しかし、債権カットを申し入れる場合、企業の現状を分析し、それを将来どう立て直してどのように返済するのか、再生計画案を作成して銀行に応じてもらう必要がありますが、この受諾率があまり高くありません。

しかし、こうして銀行に断られる再生計画案にはいくつかのパターンがあります。今日はその内容を整理したいと思います。

将来計画が「ただの希望観測」にすぎない再生計画案

ありがちなパターンの1つは、将来計画が杜撰な再生計画案です。再生計画によれば、3年後を目途に売上を再び伸ばしていく内容になっているものの、「どのように売り上げを伸ばすのか」という問には、「頑張ります」としか返答できないようなケースです。

将来のことを予測するのは困難です。しかし、何もせずに売上が伸びることは考えにくく、頑張るだけで売上が伸びるのであれば今まで頑張らなかったのか、という話になります。

現状何が問題で、それをどう手当てしてどう変えることにより、具体的にどう変わるか。これをきちんと見据えなければ説得的な再生計画案が作れません。

数値に齟齬のある再生計画案

計画全体として、数値が整合していない再生計画案も意外に多く、これでは全く信用されません。

数値に齟齬のある理由としては、①そもそも作成者が会計処理に詳しくない、②経営者が、計画の一部を恣意的に操作した、③計画の一部分に古いバージョンの数値が残っていた、といったものが挙げられます。

おそらくこうした計画案を出した段階で私的整理としてはもうアウトです。「返済を猶予していただく機会をいただいた」と、謙虚に、提出物の数値には細心の注意を払うべきでしょう。

経営者のシナリオの押し付け感の強い計画案

企業としては、債権カットされるのであればたくさんカットしてもらった方が有利です。そのため、最初は強気のカット率で計画案を作成される企業も相当数あるのですが、金融機関側からは、債権カットはあくまで最後に手段。まずはどこまで自力でできるかを見たい状態です。そんなときに、債権50%カットありきで勝手にシナリオを描いて話を進められては聞く気すら失せてしまいます。

債権カットを最終的に目指すとしても、まずは、自社がどこまで身を削って頑張ったか、再生計画案はそこから始めなければなりません。

まとめ

私的整理をする以上は、再生計画案を受諾してもらわなければなりません。そして、そのためには、まずは自社でできることを精一杯行い、その不足分を金融機関に援助を求める、という巧みな進め方が必要になる場面もあります。

当研究所では、金融機関検査経験のある弁護士・公認会計士が、経営をどう立て直して、金融機関とどう交渉するか緻密に戦略を練り、私的整理を成功に導きます。下記より、お気軽にご相談ください。

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