円安倒産の次の倒産リスクに備え始めよ

事業再生

輸入産業が円安倒産の危機に

ステーキ店など、材料を輸入に依存する業者が倒産の危機に瀕しています。円安で仕入が高騰しているのに対し、日本国内の需要者に対して値上げにより価格転嫁できる余地は限定されているからです。
この円安倒産の危機、いずれは来ると言われていたもので、為替予約などの対策を講じていれば回避可能なものでした。本稿では、円安の次のリスクとその対策を紹介します。

円安の要因

今の円安の原因は様々ありますが、1つ大きな要因は海外との金利差です。例えばアメリカで金利5%、日本で1%としましょう。同じ額の預金を持っていても金利差で全然今後の増え方が違います。今後の増え方が異なるとは、会計的には「現在価値は日本の方が小さい」ということを示します。
すなわち、現在価値において同じ額面のドルと円とではドルの方が価値が高いので、皆、ドルに換金し、円の価値がさらに落ちるというメカニズムで円安が進行しました。

次に来るのは金利上昇

このメカニズムがわかれば、次に来るのは金利上昇リスクであることはすぐにわかります。同じ額面の借金であっても、これからは、今までの何倍もの利息を支払わなければならず、この支払が経営を圧迫するおそれがあることに注意が必要です。
金利が増えるということは株主からの配当要求も同程度強まります。株主としては金融機関に預けておくだけで安全にリターンを得られるのであれば株を買う理由がなくなるためで、金利が上がるということは、負債・純資産双方においてコストを要するわけです。

借入は企業価値創出に貢献する

株式発行と異なり、負債は返済義務があることから、返済できない場合倒産リスクがあり、「あまり増やしすぎてはいけない」と言われがちですが、一概にそうとはいいきれません。
借入に対する利息の支払は法人税法上損金算入できるため、節税効果がありこれが企業価値創出に貢献します。すなわち、借入の増加は最初は増えれば増えるほど企業価値の増加につながり、やがて倒産リスクに変わっていくという関係があり、借入を減らせば良いというわけではありません。適切な水準を見極めて節税効果を活用していくことで、企業をより発展させていくことが可能となります。

まとめ

今後、金利上昇を通じて支払利息が増加する時期が早晩やってきます。その際、金利の節税効果もふまえながら適切な借入の水準を維持して事業を運営していく試みが要求されます。
当研究所では、倒産案件の経験豊富な弁護士・公認会計士・MBAが御社の最適な資本構成を含めた事業運営上の課題に経営・法律・会計・税務すべての免から総合的に対応いたします。下記よりお気軽にご相談ください。

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