企業銀行が増加
企業が銀行部門を起ち上げるケースが増加しています。例えばJR東日本は一定の預金をしている方に新幹線の乗車券を割引提供するなど、利用者にはかなりお得な特典を付与しています。
このような特典を付与して銀行業に進出して割に合うのか疑問を持つかも知れません。そこで本稿では、こうした企業銀行が増加する背景を解説いたします。
銀行業の許可取得は困難
銀行業務を扱うには銀行業の許可を得る必要がありますが、この許可を得るのはかなり大変です。銀行業は顧客からお金という非常に重要なものを預かる以上、厳格な管理体制が求められるためです。
そのため、企業銀行は決して1から許可を受けて銀行業務を始めたわけではありません。既存の銀行の支店として、銀行業者の指導監督を受けながら業務を行っており、企業銀行に口座を持つと言うことは、実は既存銀行の口座を新しく作るということなのです。
安全預金活用というメリット
金利や株価が上昇している中、休眠預金を持つのはもったいなく、可能な限り投資するのが今の風潮です。しかし、安全資金も持っておく必要があり、一定の預金を残しておくのもセオリーです。この預金をどこに持つかなのですが、どうで金利のほとんどつかない銀行に預けるのであれば、明確な割引サービスを受けられる企業銀行に預けた方が得で、用は安全資金をプチ投資するというメリットがユーザーにあります。
顧客情報入手というメリット
企業銀行側にとっては預金を集めるというメリットがありますが、その対価として金利を上回るようなサービスを提供するのでは、この面だけを切り取れば損が生じます。しかし、企業銀行がこの業務を行うのは、自社の商品サービスを購入してくれる顧客との接点を強め、その意向や同行を把握しやすくなるという点で本業に大きなメリットがあるためであり、割引サービスをつけても企業全社的には得するという計算があるからです。
今後も増加の見通し
こうして企業銀行の成功例がいくつかできてきたため、今後同様の銀行業を始める企業は増加すると思われます。どんな企業でも運用資金と顧客情報は喉から手が出るほど欲しいからです。
しかし、既存銀行の観点からは指導監督できる先は限定されますし、あまり銀行が増えすぎると資金が分散してメリットが薄れてしまいますし、「早い者勝ち」の傾向が強まっていくのかと思われます。
まとめ
企業銀行は一見損するようで、全社的には顧客とウィンウィンな関係になれる有効な手段で、いち早くその意義に気づいて行動できた企業が恩恵を受けることができます。
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