当初から酷似しているとの噂
任天堂がパルワールドの開発元を特許権侵害で提訴しました。パルワールドのキャラは、当初から任天堂のポケモンに類似しているものの、著作権侵害を主張するには困難であるとの指摘がありました。
そこで、この訴訟は特許権侵害を理由として提起された点が特徴的です。本稿では、なぜ特許権侵害を選択したのかや、さらなる訴訟展開の壁の存在について説明します。
著作権侵害の要件
著作権侵害を主張するっためには、侵害対象が、著作権のある元の絵などに対して
①類似性②依拠性を有する必要があります。このうち、パルワールドのキャラがポケモンのキャラと類似していることは説明できそうなものの、それがポケモンに依拠して作成されたかどうかは訴訟をしてみないとわかりませんし、生成AIによる作成であれば何を元ネタにしてどの程度依拠して作成したかも複雑となるため、訴訟は難しくなる、と考えられていました。
特許権侵害の要件
特許権侵害を理由とする場合、特許広報に記載された構成要件に該当するか否かで請求の適否を判断します。すなわち、著作権侵害を主張するよりも客観的に要件該当性を検討することができるため、任天堂はパルワールドを十分に調査し、構成要件に該当すると判断して訴訟提起に至ったものと考えられます。
生成AIによる侵害対策
今回の訴訟は、生成AIの産物に対してどのような対応をすべきか、という観点でも注目されています。先に記載の通り、生成AIの産物を著作権侵害で追及するには少しハードルが高く、そうであれば、著作物の根本的な部分の特許を取得しておき、客観的な判断をしていこう、というのは1つの解決方針となります。
ただ、音楽や絵など生成AIは様々な場面で問題になるのに対し、特許権をとれるのはゲームなどの一部の領域に限定されるのはまだまだ課題です。
無効理由というもう1つの壁
パルワールドが任天堂の特許権の請求の範囲に含まれていればこの訴訟は任天堂の勝ち、というわけではありません。任天堂の特許権の請求の範囲に含まれる場合、今度はその特許権が誰でも容易に想到できた平易なものであるとして、権利自体が無効であるとの主張も予測され、この訴訟はまだまだ先が長いと考えられます。
まとめ
生成AIの産物をどう規制していくかはかなりの難題ですが、今回の訴訟提起で、特許権侵害という解決策が1つ大きな対策として注目を集める事となりました。当研究所では、弁理士・弁護士・MBAが御社の知財訴訟を全面的にサポートします。下記よりお気軽にご相談ください。
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