インバウンドに国産商品が人気
円安の影響もあり、インバウンドが増加しています。コト消費への移行も進む中、商品よりも体験サービスに人気がありますが、お土産需要や、SNS映えする食事の需要も大きく、日本国産の伝統芸能や食材の購入も大きく伸びています。
これは明確な商機なのですが、だからといってインバウンドに強気で売り続ければよいというものではありません。そこで本稿では、インバウンドの需要が急増する国産商品を、将来的な利益の最大化のためにどう売っていけばよいかを解説します。
値上げして高く売るのが短期的には利益は最大化するが
短期的利益を追求するのであれば値上げが最善です。日本人の顧客と二重価格を設定してもよいかもしれません。ただ、海外のガイドブックに載るような商品やSNS映えする商品は多少値上がりしても需要はほとんど減少しないと見込まれ、結局、大多数をインバウンドに販売することになるでしょう。
品質低下を生じては将来的に大損
インバウンドに値上げして売るのが短期的には最善ですが、ここで2つリスクが生じます。
1つはインバウンド需要が後退した際に、仕入や設備投資に見合った収入が得られなくなり損失を出すリスク。もう1つは需要増に伴い、海外産の安い材料を活用して供給を間に合わせるなど、品質低下を生じるおそれがあることです。
日本の賑やかな観光地ではほぼ例外なく怪しげな中国人が怪しげな商品を外国人観光客に売りつけています。日本の国産商品が売れるのは品質に対する信頼があるためであり、その信頼を失うと人気は瞬く間に後退してしまいます。低品質の商品で儲けようとする輩が現れないよう工夫が必要です。
固定客の維持は必須条件
インバウンドばかりに商品を優先的に流すと、これまでその商品を定期的に購入してきた地元の固定客に商品が回らないこととなります。この固定客は景気や人気の波に左右されない安定した収入源であり、インバウンドに高く売ることができても維持する必要があります。そのため、こうした固定客の必要数量は先取りで確保した上で定価で販売するのがセオリーです。
品質維持のための販売制限
以上を総合的に整理すると、インバウンド需要が伸びている際であっても決してインバウンドに高く売ることばかり考えず、販売制限をして、地元の固定客の需要確保と、品質の維持を徹底する必要があります。利益優先の方や、大規模な設備投資を推奨するコンサルタントがいるとこの方針には反対される可能性が高いですが、将来的な事業維持を考えると、インバウンド需要に完全に乗ってしまうのは悪手になります。
まとめ
インバウンドに人気のある国産商品は金の卵を産む鶏ですが、長く金の卵を産ませることが大事で、事を急いては鶏自身を殺してしまいかねません。
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