不正はなくせない?企業の不正対応の実務

リスクマネジメント

トヨタ会長が「不正はなくせない」と発言

トヨタが、海外での業績が好調な中で認証不正などが続いており、是正命令を受ける事態に陥っています。その中、トヨタの会長が、少し前ですが、「不正はなくせない」と開き直ったかのように捉えられ得る発言をしたことで株価が大きく変動するなど、社会的影響が及んでいます。
不正は本当になくせないのか、企業は不正についてどのように対応すべきなのか、本稿では順に説明していきたいと思います。

不正を防止する対策を十分に行う

不正は人が計画的あるいは衝動的に行うものであるため、ある程度の防止策を講じることはできても、完全に防止することは困難でしょう。そこで大事なのは、完全ではなくともできる限りでの防止策をしっかりと講じることが大事だということです。限界事例に近づくほどコストパフォーマンスは悪くなるのですが、不正事例はできる限り少ないにこしたことはなく、最小件数に抑えることは有効ですし、こうした対策を事前に講じていたか否かが、事後的に周囲が評価するうえで好意的に捉えられるためです。

不正を発見し、情報収集する体制を構築する

不正を行って発覚しないと、不正を行った者は調子に乗って何度も不正を行います。そのため、不正が発生したとしてもすぐに発見できる相互監視制度が不可欠です。
また、不正が一度発覚すると、事案の軽重を問わず事実関係を調査する必要が生じます。ここで必要な情報が隠されることなくすべて報告されるためには、虚偽報告に対してペナルティを課すなど、何らかの工夫が必要になります。

不正内容に照らして適切な再発防止策をとる

不正は起こりっぱなしではダメで、必ず再発防止策を講じる必要があります。そしてその策も、なんとなく講じればよいわけではなく、なぜ不正が起こったのかをふまえて、その根源的な要因を捉え、そこを根本的に改善することにより、二度と同じようなことを考える輩は出ない、というレベルまで徹底する必要があります。

ステークホルダーに適時適量の情報を提供する

不正の全容を把握し、再発防止策を講じれば、最後にステークホルダーに情報開示する必要があります。この情報は必ずしも企業が把握した情報すべてである必要はありませんが、情報内容は事案の程度に照らして適切なものである必要がありますし、タイムリーな情報提供も必要になるため、その判断を行う手間がかかる点に注意が必要です。

まとめ

以上のように、不正は完全に根絶することは困難ですが、紋切り型の対応でなく、局面局面で実質的に考えて、できる限りの活動を尽くす必要があります
当研究所では、経営やITにも詳しい弁護士・公認会計士が、御社の不正対応体制の構築に幅広く貢献します。下記よりお気軽にご相談ください。

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