不倫訴訟は証拠収集が9割
離婚紛争の中でも不倫の絡む案件の割合は増加しているように思います。不倫は密室性が高く、証拠収集が困難です。かつ、離婚協議を始めてしまうと相手はなかなか隙を見せてくれずさらなる証拠収集は困難となることが多いため、不倫を主張する場合、相手に離婚を切り出したり離婚意思を悟られる前に証拠を集める必要があります。ただでさえ離婚するかどうかの意思決定の負担が大きい中、証拠収集までしなければならないのは大変です。そこで本稿では、不倫の証拠収集の勘所を整理したいと思います。
間接証拠で密室に二人でいたことが立証ターゲット
証拠には直接証拠と間接証拠とがあります。前者は証明したい事実をそのまま証明できる証拠、後者は本命の証明したい事実とは少し遠いが、複数の証拠を組み合わせて立証を目指す証拠です。
不倫案件で直接証拠を入手できることはほとんどありません。そこで間接証拠を組み合わせて立証を試みることとなります。
立証ターゲットですが、不倫行為そのものの立証は通常困難で、「二人で密室で1時間程度以上一緒にいた」という事実の立証を目指すことが一般的です。これも、密室への出入りの写真があれば決定的ですが、ホテルの領収書や、スケジュール帳の記録などから間接的に立証することがほとんどです。
最初に、怪しい日時・事情はすべてメモする
ここから不倫の証拠収集手続の説明に入りますが、一気に決着をつけようといきなり相手のスマホを見たり、探偵調査をするのはお勧めできません。スマホを見ることで相手に警戒されたり、仮に証拠を見つけたとしてそれをどう保存するかの判断が意外に難しいです。探偵調査もある程度Xデーを特定してから依頼しなければ費用対効果が悪いです。
まずすべきは、「あ、不倫かも?」と感じた際にその日時や、何で不倫と感じたかを細かくメモしていくことです。このデータが貯まると、例えば日時の周期性(火曜日に不倫の可能性が多い)とか、不倫相手の素性(香水や化粧品の傾向)が見えてくることも多いです。
ここで弁護士に相談
続いて、この段階で弁護士に相談しましょう。不倫訴訟は証拠戦略が9割ですので、離婚条件をどうするか考える前であっても、できる限り早い段階で弁護士に相談しながら組み立てるのが望ましいです。しかし、何も証拠がない段階では弁護士も一般論しか説明できませんので、この段階で弁護士に相談して、相手や不倫のXデーの特定を試み、どのような追加証拠を得れば良いかを整理していくことが望ましいです。
例えば、怪しい日の周期性が判明した場合、その日の予定をスケジュール帳で確認したり、(警戒されていない段階では)それとなくスケジュールを聞くなどして、より具体的な不倫活動がイメージできるようになり、イメージが具体化すれば収集できる証拠の幅も広がります。
違法収集証拠にご用心
裁判では何でも証拠として使えるわけではなく違法に収集された証拠は採用されないリスクがあります。相手に不意打ち的な録音やロックされているメール等の閲覧は場合によっては違法収集証拠となるかもしれませんので、弁護士と相談しながら適切に収集する必要があります。
不倫調査の最後の手段は探偵調査で多くの探偵は合法に調査を行ってくれますが、時々、成果をあげるために違法な調査を行う業者もあると聞きますので、探偵に依頼する際にはその実績や口コミをしっかりと確認すべきです。
まとめ
以上に整理したとおり、不倫の証拠収集は地道な活動が必要で特効薬はありません(高額の調査提案や、違法な調査提案には重々お気をつけください)。離婚するか決める前にここまでの活動をするのは負担が大きいですが、戦略を間違えると後から修正が効きにくいのが離婚訴訟なので、粘り強く情報収集する必要があります。
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