「下からガッツリまぜる」は法律上保護される?

知財戦略

「下からガッツリまぜる」でラーメン店とセブンイレブンがバトル

とあるラーメン店が数年前から利用していて、SNSでも人気のフレーズに「下からガッツリまぜる」というフレーズがあります。「下からガッツリまぜる」という言葉自体はありふれた内容のようにも見えますが、SNSで人気を得ていると、その人気にただ乗りしようとしている可能性もあるので、法律の検討が必要です。芸人のコントなども、短いが切れ味が鋭く人気のあるものは何らかの保護が必要と考えられています。そこで本稿では、このケースを題材に、知的財産権法の保護が及ぶかを横断的に検討します。

著作権侵害の有無

著作権は一定の長さの文章などに発生します。「下からガッツリまぜる」では短すぎ、内容も普通の説明であるため、この文章に著作権の発生を考えるのは難しいでしょう。
しかし、SNS等でコントのように一定の身振りなどを交えて人気を得ていたらこれらを一体として著作権が及ぶかもしれません。ただ、これでは、冒頭のセブンイレブンへの請求は困難です。

商標権侵害の有無

このラーメン店は「下からガッツリまぜる」について商標権を有していたため、当該権利に基づいて請求ができるかも検討する必要があります。
商標権は同じ名称が使われているだけでなく、同じ商品・サービス分類について名称が使用される必要があります。ラーメン店が有している商標は「飲食物の提供」というサービスの分類。セブンイレブンは店舗で売る飲食物商品に名称を使用していたため、分類が異なり、商標権に基づく請求は困難です。
また、セブンイレブンは商品の名称として表示を示したのではなく、商品の食べ方の説明としてこのフレーズを用いている、すなわち商標として他の商品と区別等するために使用しているわけではないので、この意味でも請求は困難です。

不正競争防止法に基づく請求の成否

この「下からガッツリまぜる」が商品を見分けるための表示であり、一定の知名度があれば不正競争防止法で差し止めや損害賠償ができる可能性があります
とはいえ、ラーメン店が提供するのは店舗提供のラーメンであり、コンビニのカップ麺について同列で考えることができるかどうかはかなり難しい問題があります。

ショートフレーズ・ショートコントは映像で著作権化するのが基本

このようなショートフレーズは文章自体に著作権は発生しにくく、商標権取得が有効にも見えます。しかし、商標は分類が異なれば権利行使はできず以外に使い勝手の悪い制度です。そのため、ショートコントのようにパターン化して映像化し、その映像の内容に著作権を有する方が得策だと考えられます。

まとめ

パッと思いついた良いフレーズは、商標化と、シリーズ化して映像化する保護方法があります。いずれも一長一短で、想定される相手の行動を予測しながら対策を講じることが重要です。
当研究所では知財保護に詳しい弁護士・弁理士が御社の知財戦略全般をサポートします。下記よりお気軽にご相談ください。

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました