ローソンが「ポツンと一軒家」営業を展開するワケ

コンサルティング

ローソンが地方で人の少ない地域に出店傾向

コンビニは人が多い地域に出店するのがセオリーです。集客のためには顧客に近いところで店舗を構えることも大事ですが、物流コストが大きいコンビニ経営ではいかに効率よくトラックが商品を各店舗に配達できるかが収益性のカギになるためです。そのため、コンビニチェーンの中には47都道府県コンプリートがかなり遅かった企業もあります。人口減少の進む県では、コンビニを出店しても物流コストなどを考えると収益化が難しいからです。
しかし、ローソンはそのセオリーに反して、主に地方で、人の少ない地域の道路端に出店するケースが多いです。まるで「ポツンと一軒家」状態のそのテンポは本当に儲かるのでしょうか、本稿ではその戦略に踏み込んでみたいと思います。

「地域の拠点」という存在意義

ローソンがこうした地域を狙う意図は、端的に言うと買物難民の救済にあります。ただ、ローソンですので、慈善事業では事業計画案が通りません。ローソンが目指しているのは大きな道路端で自動車利用者の需要も取り込みながら、その地域の住民の便利な存在として、地域の拠点を目指すことにあります。
実際、こうした地方の繁華街ではないエリアのローソンで最も重宝されているのは複合機とATMで、コピーやFAX、住民票などの発行に現金引き出し、公共料金の支払までできるという、地方に住む人間にはこれ以上ない便利さで、こうして地域の拠点として人が集まる仕掛けがあることがローソンの戦略の肝になります。こうした機能があるため、ローソンに人が集まる。人数自体は都心部とは比較にならなくてもその意義が大きいです。

売れ筋商品を絞ることができる

こうした地方のローソンでは、生鮮品や冷凍食品がよく売れているようです。都心に住んでいる人間からすればそうした食品はコンビニよりも安くて鮮度も良い商品を買える店がいくつもありますが、地方ではそうはいきません。そのため、コピー機の利用や公共料金支払でローソンを訪れた際にそうした商品をまとめて買っていけると大変便利です。
ローソン側から見ても、顧客層は特定しており、顧客が何を買うかわかっているのでそれを揃えれば儲かるというありがたい話。何を売るかを考えるのではなく、顧客に売れる売れ筋商品を絞って配置すれば利益はついてくるわけです。こうして地方のローソンは都心部とは全く異なる店舗になっていることもあります。

顧客ロイヤルティが将来にわたって獲得できる

こうして地方に住んでいてローソンを活用していると、ローソンに対する信頼感が生まれ、ローソンブランドに対するロイヤルティ(忠誠心)が生まれます。そうすると、そうした環境で育った若者が大学で都心に行っても、そうした地域の人たちが災害避難で他地域に行ってもファーストチョイスはローソンになります。
地方の1つ1つの店舗では利用客数の絶対値は少なくとも、競合があまり出店しない地域で1番を取り続けることで、少しずつでも地方から都心部へ「ローソンが良い」という人を増やしていくことができる点も大きな魅力だと言えます。そうすれば将来的にローソンを利用する客が逆転で一番になる可能性もあります。

地域による使い分けが大事

コンビニといえば、どの店に行っても画一的な商品が得られる、というのが都心部の人間がコンビニを利用する大きな理由で、全社的なコストを考えるうえでも画一的な商品を販売する方が流通コストを抑制して利益獲得につなげることができます。遠い地方の店舗にトラックを往復させてもそのコストが地方の店舗で賄えるかはなかなか難しい問題があります。
そして、地方では都心部のコンビニで手軽に買えることがウリの商品を販売してもおそらくあまり売れないでしょう。ローソンは地方の店舗では地域の拠点としての意義を意識して、その地域の人の必要なものを届けることに徹しています。このように都心部と地方、もっとかみ砕けば地域ごとに商品戦略などを使い分けることでコンビニはまだまだ人の生活の向上のために貢献できます。ただ、コストの課題はどうしても生じるため、注意が必要です。

まとめ

コンビニは多店舗展開で競合他社からシェアを奪い、厳選された粗利率の高い商品で利益獲得につなげるのがセオリーですが、こうして地方のニーズに応えるローソンの姿勢は、企業と地域住民の共存共栄を実現しており、大変興味深い事例です。地域を支えることが日本全体を支えることにつながるため、ぜひ今後も続けて欲しいと思います。
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