ブックオフで不正が連発。何が起こったのか?
ブックオフで大幅に決算が遅れ、数千万円単位の損失を追加計上したケースが報道されています。
端的に言うと、従業員不正ですが、不正のあった事業所の数と金額がかなり常識外れの域に達しています。一体、ブックオフで何があったのでしょうか。
本稿ではブックオフにおける不正発生の要因と、それが大半の企業で反面教師になることを解説します。
架空取引は従業員不正の定番
ブックオフで行われた不正行為は定番の架空取引です。一連の取引は単体で見ると、一見、自然に行われているものの、一連の意図で一体的に行われた行為を合算して見るとはっきり不合理であることがわかるのがよくあるパターンです。
会計監査人がこれを見抜くための手法はいくつかありますが、圧倒的多数の取引が行われる業界の企業ではなかなか早期発見は困難です。
不正が行われた背景①本業の縮小
ブックオフの本業は古本の売買ですが、かなり厳しい状況にあります。このことは、ブックオフが実店舗を減らしていること、販売品の値上げ(特に最低販売価格を大きく上昇中)、仕入価格の値下げ(0円で引き取って再販するケース多数)などの事実から明らかです。
本自体の取引が減少し、現状維持が困難な職場では、どうしてもアピールとしての不正が行われがちです。
不正が行われた背景②新規開拓事業への権限移譲不足
古本売買だけではじり貧なので、ブックオフはおもちゃや古着など、様々なリユース品の売買に進出し、活路を見出そうとしています。
しかし、多数の店舗を抱える中で、それぞれの店舗で強み・弱みを抱える中、一律に新規事業を開拓するのも、各店舗の裁量で判断するのもリスクは非常に高いです。
そのため、ブックオフはリユース品に活路を見出そうとしつつも、各店舗には任せずにトップダウンで実行した点も大きな問題です。
不正が行われた背景③厳しいノルマ
こうした状況下でノルマだけ厳しいまま、となれば不正が行われるのはもはや時間の問題でした。
性善説にたっても厳しいノルマは不正発生の重大な契機。せめてここだけでも緩めていたらこれほど大きな不正行為には発展しなかったかもしれません。
まとめ
この件は新規事業展開の方法について、多くの企業に有益な示唆を示しています。
本業が縮小するから新規事業を模索するのは当然のこと。しかし、新規事業への権限移譲が不十分であれば従業員は不満ですし、その中で縮小する本業へのノルマが厳しいと不正するしか逃げ道が亡くなってしまうのです。
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