赤字にならないようチケット購入ノルマを課すのは考え方の手順が逆

コンサルティング

予算設計はとにかく難しい

過去に同程度の規模のプロジェクトを何度もやったことがある、というような新プロジェクトならともかく、規模の大きい初体験のプロジェクトの予算設計はとにかく難しいです。
難しいポイントは収入の見通しをなかなか高い精度で見通しにくい反面で、上位者はとことん強気で風呂敷をどんどん広げていくケースが多いためです。
そこで本稿では、こうした大規模イベントの予算設計のあり方を説明いたします。

内部ノルマ設定は一策だが

文化祭で屋台を出す際に、ほとんどの学校では収支計画を提出させます。それは、赤字が出た際に誰が負担するか揉めるのを回避するためで、十分な裏付けのある収支計画を作成させることにより、赤字の可能性をできる限り低減し、それでも赤字になった場合の責任の所在も明確にすることが多いです。
これに対し、損益分岐点の売上数量を予めクラス全員にノルマとして割り当てることで対応するパターンは多いと思われます。赤字対策としては最善で、来たる大阪万博でも、予算の半分を企業にノルマとして割り当てているのですが、この手法には限界があります

対人環境の違いで大きな差に

大阪万博の関連企業への入場チケットの割り当てですが、従業員数が多い企業や、顧客の多い企業にとっては大した負担にはなりにくいでしょう。その反面で、従業員数が少なく、オンラインを主たる市場にしている企業などは、割り当てられたチケットの販売先が限定されており、この負担は非常に大きなものとなってしまいがちです。負担が大きいと不満も大きくなりがちで、これは将来的な組織の一体性を損なう危険を生じてしまいがちです。

赤字にならないために売上を固定するのではなく、売上を想定して収支相等の事業活動を

このようにノルマを割り当てる方法は赤字対策としては一定の合理性はあるものの、予算設計の考え方としては逆で、先に収入見込を出したうえで、その範囲内で収益を残す内容を作り込むのが正当な考え方の手順です。
もちろん、収入を正確に見通すことは難しいですが、統計理論を活用して、ある程度の確率で達成可能な「枠」は計算でき、赤字の穴埋めが一切不可であればその枠の下限値で、穴埋めが可能であればあるほどより上限に近い数値で設定するのが一般的です。

消極的な予算設計は事業を小さくまとめてしまう

上記が予算設計の基本的な考え方ではあるのですが、日本人はどうしても消極的に見通しを考える傾向が強く、赤字を出さないよう売上見込を低く設定しがちです。そうすると、プロジェクト全体としての規模も小さくなり、要は「小さくまとまった」プロジェクトにおさまりがちになるという問題が生じます。
この点に関しては、予算設計者と承認者のコミュニケーションの中で、売上見込をより精緻に算定し、その精度を地道に高めていくことが、手間はかかりますが必要な施策となります。

まとめ

予算設計は、非常に難しい作業でAIを持ってしても高い精度で実現可能な予算を組み立てるのは容易ではありません。かといって安易に従業員にノルマを押しつけるのでは将来的に組織の一体性を損なうおそれがあり、乱発できる施策ではありません。
対策としてはAIや統計理論・会計学に詳しい専門家と相談しながら、地道に予算の精度を上げていくことが大事です。
当研究所では、数字に強い公認会計士・ITストラテジスト・データサイエンティストが御社の適正な予算設計に協力いたします。下記よりお気軽にご相談ください。

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