サイレント評価はどこの組織にもある
「サイレント評価」という言葉があります。正式に認定された評価基準ではないものの、評価者の間で暗黙に評価基準となっており、被評価者は評価基準に逸脱すると知らずの内にマイナス評価されてしまう項目です。例えば、「出勤・退勤時に挨拶をする」といった基本的な事項はわざわざ評価基準に認定されないものの、実際にはこれをしていない従業員をマイナス評価している、というようなケースです。
こうしたサイレント評価はどこの組織にもあるものですが、扱い方を間違えると職場の不和や大量退職を引き起こしかねません。そこで本稿では、このサイレント退職の活用法を紹介します。
評価基準を一律に整理することは困難
評価基準はすべて明確にした方が良い。それはそうなのですが、評価基準をすべて一律に明文化することはなかなか困難です。職位や担当業務の違いに応じて適切な評価基準を設定しなければなりませんし、上位者が変わることによって評価対象が変わることもあるためです。
そのため明文化する評価基準は全員に適用されるべき「最大公約数」的な意義を有し、あくまで公約数ですので、これを補うものとしてサイレント評価が必要となります。
評価は時代や環境の変化に伴い変わる
こうしてサイレント評価は明文化された評価基準を補う役割を有しますが、何をどう評価すべきは時代や環境の変化に伴って変化します。例えば、一昔前の根性主義の時代では、台風襲来時や多少の風邪程度では、欠勤しないことが美徳とされ、すぐに休む人はサイレント評価でマイナスされがちでした。
しかし、今の時代、台風など交通に影響があるおそれのある日や、コロナのおそれがある場合などは出勤しない方が望まれ、無理に出勤する方がマイナス評価につながりやすく、全く真逆の評価となってしまいます。
納得性・透明性・公平性のバランス
評価は透明性を有するべきですが、透明性を追求するのは難しく、しかし、恣意的な評価をしてしまうと従業員の不和や離脱につながります。明文化された評価基準にサイレント評価を加えるとしても、個々の従業員の公平や納得に配慮したバランスよいものにすることが不可欠です。
そのためには、従業員と適度にコミュニケーションを行い、他社の例も見ながら、適切な評価のあり方を常に追求し続けることが必要です。
まとめ
サイレント評価は、「こうあるべきだ」という考えありきで進められがちですが、冷静に、今の時代にそれが合ったもので、仮に本人に説明しても納得してもらえるものであるかどうかを判断する必要があります。
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