コンサル業の倒産が増加傾向
近年、コンサルティング業界を取り巻く環境は大きく変化しています。その象徴的な出来事の一つが、コンサル業の倒産件数の増加です。帝国データバンクの調査によれば、コンサルティング業の倒産件数は過去最高を記録したとされています。かつては成長産業として注目されていた業界ですが、現在は厳しい競争環境の中に置かれていることがうかがえます。
そもそもコンサルタントや営業職は、医師や弁護士のような資格制度によって参入が制限されている職業ではありません。極端な話をすれば、今日からでもコンサルタントを名乗ることは可能です。そのため、市場には実力のある人材だけでなく、十分な経験や実績を持たない人材も数多く存在しています。
一方で、企業や個人が抱える課題は年々複雑化しています。人材不足、価格競争、デジタル化への対応、顧客ニーズの変化など、経営者が直面する問題は多岐にわたります。そのため、外部の知見を求める需要自体は依然として高い状態にあります。経営者や事業責任者がコンサルタントに助言を求めることは決して珍しいことではありません。
しかし、需要が高いことと成果が出ることは全く別の問題です。コンサルタントが優れた提案を行ったとしても、その提案が現実の成果につながるとは限りません。また、提案内容そのものが適切である保証もありません。相談者が支払う報酬と実際に得られる成果との間に大きな差が生じるケースも少なくありません。
さらに、営業についても同様のことが言えます。営業代行や販路開拓支援などのサービスは数多く存在しますが、契約したからといって売上が必ず増加するわけではありません。むしろ期待値だけが先行し、結果が伴わないまま契約期間だけが長引くケースもあります。
そこで本稿では、筆者自身の経験も踏まえながら、コンサルタントや営業サービスとの付き合い方について考えていきます。外部専門家を活用すること自体を否定するものではありません。しかし、必要以上に依存することには大きなリスクがあります。特に長期間の契約については慎重な判断が求められます。本稿では、その理由について順を追って解説していきます。
AI時代のコンサル業の存在意義
コンサルティング業界が淘汰されつつある最大の要因として、AIの急速な進化を挙げることができます。近年の生成AIは驚異的な速度で発展しており、かつては専門家だけが行えた情報整理や分析業務を短時間で実行できるようになりました。
従来のコンサルティング業務の中心には、情報収集、データ分析、課題抽出、改善提案といった作業がありました。これらの業務には一定の専門知識が必要とされていましたが、現在ではAIが大量の情報を瞬時に整理し、複数の選択肢を提示できるようになっています。
もちろんAIが常に正しい答えを出すわけではありません。誤った分析や不正確な情報を提示することもあります。しかし、相談者の困りごとに対して一定の方向性や解決策を提示するという点では、すでに十分な実用レベルに到達しています。
経営者が何らかの問題に直面した際、以前であればコンサルタントへ相談することが一般的でした。しかし現在では、まずAIに相談し、その回答を参考に検討するという流れが成立しています。しかもAIは24時間利用でき、相談回数にも制限がありません。追加費用を気にせず何度でも質問できるという点は大きな魅力です。
このような環境下において、コンサルタントには新たな付加価値が求められるようになりました。相談者の事情を深く理解し、実行段階まで伴走し、継続的な改善を支援する能力が必要になっています。単に知識を提供するだけでは十分ではなくなっています。
また、営業支援についても同様です。市場分析やターゲット選定などの業務はAIによって効率化されつつあります。そのため、営業会社が報酬を得るためには、人間だからこそ提供できる価値を示さなければなりません。
AIの進化はコンサル業界に大きな変革をもたらしています。今後もこの流れは続くと考えられます。だからこそ利用者側は、「なぜこのコンサルタントに依頼する必要があるのか」という視点を常に持つ必要があります。その問いに明確な答えが見出せないのであれば、高額な契約を結ぶ合理性は低いと言わざるを得ません。
コンサルタントの提案は正しいか疑問を持て
コンサルタントを利用する際に忘れてはならないのは、その提案内容が必ずしも正解ではないという点です。コンサルタントという肩書きを持っているからといって、その意見が常に正しいとは限りません。
筆者自身、ウェブマーケティングに関する支援を受けるために複数のコンサルタントを利用してきました。しかし、その経験から感じたのは、コンサルタントごとに提案内容が大きく異なるという事実です。
あるコンサルタントは情報発信量の増加を推奨します。一方で別のコンサルタントは情報発信を絞り込むべきだと主張します。また別のコンサルタントは広告投資を重視し、別のコンサルタントは広告費削減を提案します。このように、それぞれの主張には相互に矛盾する部分が少なくありません。
もしコンサルタントが客観的な正解を把握しているのであれば、ここまで意見が分かれることはないはずです。しかし現実には異なる提案が数多く存在します。これは多くのコンサルティング分野において絶対的な正解が存在しないことを意味しています。
さらに問題なのは、結果が出ていない場合の対応です。多くのコンサルタントは成果が上がらないと、新たな施策への変更を提案します。もちろん改善活動そのものは必要です。しかし、その変更が十分な根拠に基づいているとは限りません。
結果が出ない原因は数多く考えられます。市場環境かもしれませんし、競合状況かもしれません。実行方法の問題かもしれません。しかし、それらを厳密に検証することは容易ではありません。そのため、場当たり的に新しい手法を試す提案になってしまうことがあります。
本当に優秀なコンサルタントであれば、結果が出る確率の高い方向性を示し、その根拠を説明できます。しかし、そのような人材は決して多くありません。多くのコンサルタントは限られた情報の中で仮説を立てて助言を行っているに過ぎません。
そう考えると、一般的な情報収集や仮説構築についてはAIでも十分代替できる場面が増えています。複数の視点を提示し、メリットとデメリットを整理し、改善案を列挙するという作業であれば、AIは非常に優秀です。
もちろん全てのコンサルタントが不要だと言うつもりはありません。しかし、「専門家だから正しい」という思い込みは危険です。利用者側が常に批判的な視点を持ち、その提案の妥当性を検証する姿勢を維持しなければなりません。提案内容に疑問を持つことは失礼ではなく、適切な契約関係を維持するために必要な行為です。
何が正解かわからない中ですべきこと
コンサルタントへ相談するテーマの多くは、そもそも正解が明確ではありません。もし正解が誰の目にも明らかであれば、高額な費用を払ってコンサルタントへ相談する必要はないからです。
経営戦略、マーケティング、人材採用、営業活動など、多くのテーマは不確実性に満ちています。同じ手法を採用しても成功する企業と失敗する企業が存在します。そのため、提案内容の正しさを事前に証明することはほぼ不可能です。
このような状況において重要なのは、一定期間は提案内容を信じて実行することです。提案を受けた直後に結果が出ないからといって、すぐに方向転換を繰り返していては何も検証できません。施策には成果が表れるまで時間がかかるものも多く存在します。
また、成果が出ない原因が提案内容にあるのか、実行方法にあるのかを切り分けるためにも、一定期間の継続は必要です。短期間で評価を下してしまうと、本来効果があったかもしれない施策を途中で放棄してしまう可能性があります。
しかし同時に、いつまでも同じ手法を継続することも危険です。継続が重要だからといって、永遠に結果を待ち続けることは合理的ではありません。時間も資金も有限であり、成果が期待できない施策に資源を投入し続けることは大きな機会損失になります。
重要なのは見切りをつける判断です。一定期間取り組んだにもかかわらず成果が見られないのであれば、その手法を諦める決断も必要になります。コンサルタントが継続を勧めたとしても、依頼者自身が冷静に判断しなければなりません。
不確実な分野では絶対的な正解を探すよりも、仮説を立て、実行し、検証し、必要に応じて修正することが求められます。そして、その過程においてコンサルタントは参考意見を提供する存在であって、最終決定者ではありません。
だからこそ、利用者はコンサルタントに全てを委ねるのではなく、自ら考え続ける必要があります。提案を実行する期間と撤退する時期の両方を事前に意識しておくことが、不確実な時代における賢明な向き合い方だと言えるでしょう。
コンサルタントはスポーツチームの監督と同じ
コンサルタントとの関係を考える上で、スポーツチームの監督という存在は非常に参考になります。優秀な監督はチームに成果をもたらします。しかし、どれほど実績のある監督であっても、永遠に結果を出し続けることはできません。
スポーツの世界では結果が全てです。過去に優勝へ導いた監督であっても、現在の成績が低迷していれば交代が検討されます。そこでは過去の実績よりも現在の成果が重視されます。
コンサルタントについても同じことが言えます。契約当初は成果を生み出していたとしても、時間の経過とともに効果が薄れることがあります。市場環境が変化し、競争環境が変わり、顧客ニーズも変わるからです。
結果が出ている間は関係を継続する価値があります。成果が確認できている以上、無理に変更する必要はありません。しかし、成果が停滞し始めた場合には状況を客観的に見直す必要があります。
特に注意すべきなのは、長期間の契約によって判断が鈍ることです。数年単位の契約を締結していると、成果が出なくなっても契約を維持すること自体が目的化しやすくなります。本来であれば見直すべきタイミングであっても、「せっかく契約しているから」という理由で継続してしまいがちです。
これは営業代行会社との関係でも同様です。契約当初は成果があったとしても、状況が変化すれば成果は低下します。その際に必要なのは情ではなく合理的な判断です。
スポーツチームが監督交代を行うのは、現状を変えるためです。同じ考え方で、コンサルタントや営業会社についても定期的な見直しが必要になります。契約期間が長すぎると、この見直し機会が失われてしまいます。
そのため、コンサルや営業との契約は長期間固定するべきではありません。長くても一年程度とし、契約更新のたびに成果を厳しく評価することが望ましいでしょう。継続の可否を毎回ゼロベースで検討することで、依存関係の固定化を防ぐことができます。
契約は信頼関係を築くためのものですが、同時に成果を求めるためのものでもあります。結果が伴わないのであれば、監督交代と同じように関係を見直す勇気を持つことが重要です。
まとめ
コンサルティング業界は現在、大きな転換点を迎えています。倒産件数の増加が示すように、従来型のコンサルティングビジネスは厳しい競争にさらされています。その背景にはAIの急速な進化があり、これまでコンサルタントが担ってきた情報整理や分析業務の多くが代替されつつあります。
もちろん、優秀なコンサルタントの価値が失われたわけではありません。しかし、専門家という肩書きだけで高額な報酬を支払う時代は終わりつつあります。利用者は本当に付加価値があるのかを見極めなければなりません。
また、コンサルタントの提案が常に正しいとは限りません。同じ課題に対して異なる提案が示されることも珍しくなく、多くの場合は仮説に基づく助言に過ぎません。そのため、依頼者側が提案内容を鵜呑みにするのではなく、常に検証する姿勢を持つことが重要です。
さらに、正解が分からない分野では一定期間は提案を試してみる必要がありますが、成果が見られない場合には撤退する判断も求められます。継続する勇気と見切る勇気の両方が必要です。
そして最も重要なのは、コンサルタントや営業会社との関係を固定化しないことです。結果が出ている間は継続すればよいですが、成果が伴わなくなった場合には契約の見直しを躊躇してはいけません。スポーツチームが監督を交代させるように、外部支援者についても定期的な評価と見直しが必要です。
だからこそ、コンサルや営業との契約は長期契約を避けるべきです。長くても一年程度とし、その都度成果を確認しながら更新の可否を判断することが望ましいでしょう。依存を避け、常に最適な支援者を選び続けることこそが、変化の激しい時代を生き抜くための現実的な経営判断と言えます。
当研究所では、部下に任せるマニュアル対応ではなく、1件1件代表が直接、相談者の話を聞き、最適な課題解決を模索いたします。下記よりお気軽にご相談ください。


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