小規模飲食店がキャッシュレス払い導入に際して考慮すべきポイント

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「CASH ONLY」の店が小規模事業者を中心に未だに多い

町中では現金のみの店をしばしば見かけます。つい数年前くらいまでは別に珍しいとも思いませんでした。収支管理をするためには現金で買い物をする方が金銭の出入りを把握しやすいため、決裁は現金が主、カード等が従でした。しかし、給与やお年玉のデジタル払いが普及するなど、ほとんどの方がデジタル決裁を主にしている現在、現金のみのお店は完全に少数派になっています。それでもなぜ現金のみを堅持するのか、会計的な理由と考慮しなければならない点を解説します。

導入コストと運用コスト

キャッシュレス決裁を導入するには、カードやその他デジタル通貨での決裁を可能とする機械の導入が不可欠で、これは小規模店舗用のものでも数十万円かかると言われています。出費はそれだけでなく、設備の運用保守のためにも維持費等が発生しますし、カード決済などでは一定割合の額を差し引かれます。現金決済だけであれば発生しなかったこれらの費用の負担が大きいことがキャッシュレスを導入しない一番の理由となります。

金銭授受・お釣り用意・売上管理のコストやリスク

キャッシュレス導入時にはコストがかかるものの、このコストは必ずしも売上に関わらない費用ではなく、営業上のメリットもたくさんあります。
例えば、飲食業では調理をする方が現金を触るわけにはいきませんので、キャッシュレス決裁を導入すると、現金を触らずに済む、逐一手袋を外さずに済むメリットのほか、現金の紛失リスクや十分なお釣り用の小銭の用意も必要なくなります。
また、キャッシュレス決裁を導入すれば何がいくつ売れたかがデータとして残りますので売上管理や在庫管理、経理作業も格段に楽になると思いますので、そうしたメリットの対価として捉えられればキャッシュレス決裁を前向きに進めることができるでしょう。

工夫や努力による対応

現状は、小規模事業者はコスト負担が大きいことから、努力と工夫で必死に現金のみの決済にしがみついています。
上記のような現金やお釣りの管理は、例えば商品価格を500円や1000円といったわかりやすい数字で均一化できれば工夫で解決できます(ただし、この手法は材料原価の高騰により値上げを余儀なくされた際、大きな混乱を生じかねません)。
在庫管理や経理は電子化する方が絶対的に楽なのですが、ここも現金決済のみの事業者では睡眠時間を削ってでも根性で乗り切ろうとする傾向が強く、どこかで破綻する危険を抱えながらの営業を続けています。
現金決済が主の時代であれば工夫や努力で乗り切るのも一策ですが、現金決済が従になった今ではこうしたやり方にはいずれ限界が訪れると思われます。

機会損失と売れ残り損失と低評価

最後に、現金決済のみの業者の最大の不利益は、お客を取り逃がすことです。折角興味を持った客がお店を訪れたとしても現金しか使えなければ購入してもらえません。増加している外国人観光客や若者は日本通貨をそれほどたくさんは用意していません。そうした顧客に対して、キャッシュレス決済できれば売れたものが売れ残ると、その分機会損失と売れ残り損失がダブルで発生します。そのうえ、キャッシュレス決済できなかったと低評価をネット上でされればトリプルパンチになってしまいます。
お釣りの用意や経理の手間は頑張ればフォローできるものですが、こうした顧客ロストは対策することができず、ここまで計算に入れれば初期コストは決して高くないという結論に至ることができるのではないでしょうか。

まとめ

小規模事業者ではキャッシュレス決済の導入コストは高いです。しかし、現金で決済する人は着実に減少しており、キャッシュレスを導入しないことは確実に損失を広げ続けることにつながります。
当研究所では、新規設備の導入などに際して、目に見えるコストだけでなく、目に見えない追加コストや損失も考慮して総合的な収益性を可視化して提供するサービスも取り扱っております。下記よりお気軽にご相談ください。

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