カレーライス物価が過去最高値。飲食店が特に注意すべき経営指標とは?

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物価高が一因で飲食店の倒産が増加

飲食店だけに限らず全業界が苦しんでいる物価高ですが、飲食店は特に物価高で倒産に追い込まれる企業が増加しています。仕入価格がどんどん増大する中で、客が思ったよりも少なければ食材の廃棄損も生じてしまい、コストの管理がかなり難しいです。しかし、とある経営指標に着目すれば改善策が意外に簡単に解決策見つかることもあります。
そこで本稿では、物価高の中で飲食店経営者がどんな指標をベースにどのように改善に取り組めば良いかを解説いたします。

カレーライス物価の内容とこれが指し示すもの

カレーライス物価という指標があります。家庭でカレーライス1杯を作るために必要な原価で、2024年10月に371円、その内訳は具材が201円、ライスが142円、ルーが25円、水道光熱費が4円です。これは家庭での必要原価で、店舗で出す場合、材料費は品質を重視すればより高くなりますし、ルーや具材は仕込みの時間が長ければ労務費が大きくかかってくることになります。ここに利潤を乗せると、1杯1000円前後の料金をいただけないとなかなか利益は出ない計算になります。

対策その1 品質を上げて値上げ

まず、このカレーを800円で売っていた飲食店を考えてみます。売値800円では原価がどんどん圧迫して利益はみるみる減少していきます。そのため、ファーストチョイスとしては値上げになりますが、同じ品質で1000円に値上げすると客数は大幅に減ってしまうでしょう。
そこで、ルーの煮込み時間を増やすなどのコストを増加させにくい品質改良を中心に、クオリティを高めて同時に値上げすることが有効です。

対策その2 こっそり減量・他の商品をアピール

今年の米の価格上昇で、コンビニの中にはおにぎりの米の量を減らして価格を維持している企業もあると報道されています。こうしたこっそり減量して収支を維持する方策は分かる人には分かりますし、バレると批判も大きいことがデメリットです。
そのため、コストが上昇している商品の販売は縮小し、その他の収益性の比較的高い商品をキャンペーンを組んでたくさん売ることも対策の1つです。

粗利率と損益分岐点を明確に意識することが大事

いずれの対策にも共通する視点は、販売する商品の粗利率を高めることです。飲食店では1度メニューが固まるとそのメニューの原価率が上昇してもレシピや材料を変えない傾向があります。これでは物価上昇の影響を大きく受けて、赤字になる商品を提供し続けることにもなりかねません。そうではなく、状況に応じて粗利率をまず改善します。粗利率を改善すれば何個商品が売れれば赤字を回避できるのか、損益分岐点も実現可能な水準で算定されやすくなるため、赤字を回避するところまでは比較的管理しやすくなります。

まとめ

飲食店はメニューの味の再現性を重視しすぎるあまり、採算のとりにくくなった商品を多く販売するケースがしばしば見られ、これが倒産の大きな要因となりがちでした。そのため、外部環境の変化に合わせて原価率・粗利率を調整し、損益分岐ラインを明確に見据えて営業することが自社を守るための最も基本的な手法となります。
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