日清がカップラーメンの価格値上げを要求。その効果とデメリット

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日清が独禁法違反で問題に

日清のカップラーメンは私も大好きで、ファンの方も多いですが、その日清が取引先に独占禁止法違反の要求を出したと言う報道がありました。
昨今の物価高と賃上げ傾向の中で、日清はカップラーメンを高く売ってほしい反面で、スーパーは安く売りたいという思惑の不一致が生じた結果です。
本稿ではカップラーメンを題材に独占禁止法の基本と価格設定の戦略を説明します

販売価格の設定は売主の自由

日清が独占禁止法に問われたのは「再販売価格の拘束」という条項で、この事例ではスーパーは日清から仕入れたカップラーメンをいくらで売るか自身で決めるのが当然で、売主が発言し過ぎると経済にひずみが生じます。
この事例では日清は物価高の状況の中で、カップラーメンの最終価格を上げたかったのですが、スーパーは逆に下げたかった、という複雑な思惑が交差しました

スーパー側のメリット

スーパーはカップラーメンを安売りしたがります。スーパー取り扱う生鮮食品に比べて、カップラーメンは保存期間が長いため仕入れすぎても損になる可能性は低いからです。
スーパーでは目玉商品をおとりに関連購買を促すのがセオリーで、カップラーメンは目玉商品にうってつけです
損失につながりやすい生鮮食品を売るために、目玉商品としてカップラーメンを安売りすると、来店客が増えて生鮮食品の売上も増えるという効果を享受できるためです。

日清側の思惑

他方で、日清側としてはカップラーメン業界の縄張り争いの中で、自社のシェアを維持し、ライバルを追い出したい、という思惑があります。
原価も増加していて、そう簡単に安売りできる状況ではありませんが、多少値引きしてたくさんスーパーに買ってもらえると、売上総額が伸び、競合他社のシェアを削ることができて一石二鳥です。
その結果、日清にどの程度の利益が残るかは、売価と売上数を基に慎重に検討する必要がありますが、商品のプロバイダー側からは、多少値下げしてもたくさん売り込みたいという思惑があります。

コンビニにおにぎりとの違い

人気商品を値引きして他の商品の追加購買を促す。スーパー側の狙いはセオリー中のセオリーで様々な場面で確認することができます。例えばコンビニのおにぎり割引です。
コンビニのおにぎりは忙しい時にすぐに食べられる商品として重宝され、最早100円代後半でカップラーメンよりも高いです。
しかし、最近、おにぎりの安売りは減ってきました。その要因は、おにぎりは保存がききにくいことと、おにぎりの需要者が他のコンビニの割高商品に興味を示さず、追加購買を誘発できない点にあります。

まとめ

価格設定は簡単なように見えて大変難しく、このケースのようにプロバイダー側と消費者側の思惑のギャップが大きいとさらに複雑な問題になりがちです。
当研究所では、京都大学でMBAを取得した弁護士・公認会計士が、御社の新商品の販売戦略全般をサポートします。下記よりお気軽にご相談ください。

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