セブンイレブンが「要塞レジ」を増加
コンビニのセブンイレブンが、レジにパネルを設置して顧客が店員に接触できなくする、いわゆる「要塞レジ」を増加させています。その理由は、悪質なカスハラを繰り返す客や極端なケースでは強盗から従業員を守るのが目的で、コンビニといえば気軽に入れるのが当然の店舗ですが、夜間には店員が内側からロックを解除しなければ扉が開かない店舗も増加させています。遭遇するケースは低いですが、コンビニを24時間開けていると、どうしてもこうした厄介客は一定確率で現れます。
治安の悪い国では、タクシーの運転手と客の間がパネルで遮蔽されているケースはしばしば見かけますが、日本もそこまで治安が悪くなったのか?というと、そこまでではなく、これはカスハラ対策の最先端の手法だと思います。そこで本稿では、カスハラ対策の本質に迫りたいと思います。
困った顧客の心理
いわゆるカスハラを起こす客は、確かに何かに不満を持っています。その不満がサービス品質不良によるものであれば、真摯に謝罪し、サービスのやり直しか返金に応じるべきです。しかし、カスハラで問題になる顧客は、やり直しや返金以上の対応を要求したり、例えば不可抗力の列車の遅延に対してタクシー代を要求するなど、過剰な要求をしがちであることが問題です。
もちろん、法律上、過剰な要求には応じる必要はありません。また、暴力などを用いて過剰な要求をすれば強盗未遂罪が成立します。困った顧客はこの隙間をうまく突いて、犯罪とならない範囲で担当従業員を心理的に圧迫し、要求に応じなければ不都合が生じるかも知れないと思わせて自身の要求を通そうとしがちです。
電話応対で不当な要求が減少
カスハラ対応は現場で担当者に任せてはならないというのは最近では常識になっています。まず、現場で対応すると他の業務の妨げになりますし、他のお客にも不快な思いを伝播させてしまいます。そこで、クレーム対応は電話応対に一本化する企業は増えています。
この電話応対にはいくつかメリットがあります。1つ目は電話をかける間、電話がつながるまでの間、わずかな時間でも少し間をとるだけでクレーマーの頭のクールダウンを狙えることです。
さらに、電話越しでは暴言は吐けても暴力を行使することはできません。電話応対をする側は「暴力を受けるおそれがない」という安心感があるため、直接現場で対応するよりも落ち着いて対応することができます。最終的には、応対社側から電話を切って話し合いを打ち切るということも可能であり、「同じことの繰り返しなので切らせていただきます」が伝家の宝刀になります。そのため、クレーマーは小細工によって自身の要求を通そうとするのが難しくなります。
まずは従業員の安全の確保の優先を
前項でわかる通り、現場対応では身の危険を感じることから、ズルズルとクレーマーのペースに乗せられがちで、経営者はクレーマー対応以前に、従業員を守る義務として、顧客対応する従業員の身の安全を確保することが不可欠です。セブンイレブンの要塞レジもそうした観点で増加させていると考えられます。今後、クレーマー対応を現場従業員が行わなければならない場面では、こうして身の安全を保証する設備設計が最初に考えられていくでしょう。
カスハラ対策全部を委託することはコスト上難しいですが、執拗なカスハラの対応を顧問弁護士に委託することもセオリーで、従業員ではなく外部の弁護士が出ることで、企業は安全を確保でき、顧客側は自分の要求を通す「質」を失ってしまいますので、早期解決につながりやすいです。
安全確保の後は反撃に
顧問弁護士がクレーマー対応する場合、慎重に丁寧な言葉で要求を断ります。そうすると、クレーマーは焦って言動が荒々しくなり、そうした言動を録音等することによって、逆にクレーマー側に損害賠償や刑事告訴などの反撃手段を備えることができるようになります。
クレーマーとしては無リスクで要求するため、同じ内容をしつこく主張するのですが、これが有リスクになると話は大きく変わり、急に及び腰になることが多いです。好き勝手要求していたのが、言動に気を付けるようになり、やがて何も言えなくなるパターンも多いです。実際に損害賠償や刑事告訴までするかどうかは慎重な判断が必要ですが、反撃手段を備えて相手にリスクをちらつかせることはクレーマー撃退に有効であり、この反撃手段を備えるためには、決して先に荒々しい言動をせずに相手を先に苛立たせることが不可欠です。
まとめ
クレーマー対策は現代の難題の1つですが、仮にミスをした従業員が悪くても、その従業員に直接対応させてはならず、コールセンター対応、そして顧問弁護士対応に誘導して、従業員の身の安全を確保し、反撃体制を整えることが大事です。
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