もしもランチタイムを各自が好きに設定できたら潰れる店、反映する店

コンサルティング

お店はたくさんあれど、ランチの行き先は限られがち

都心部のオフィスに勤務すると、どこであっても周囲にはたくさんの飲食店があります。ランチタイムに同僚と出かける際、そのすべてが候補対象となるわけではありません。
最初に重視するのは、そのオフィスに長く勤めている人の紹介でしょう。長くその地域にいる人がヘビーローテーションする店は外れの可能性が低いです。続いてネット上の人気店。その後は、その日の気分で食べたい店を検索し、いくつかの店を利用して見るものの、最終的には、カレーならA店、定食ならB店、ラーメンならC店といった感じでセルフランキングが形成され、他の同僚のランキングとすり合わせながらよく使う店が限定されていきます
これはランチタイムが固定された時間である場合によく起きる現象ですが、もしランチタイムを客側が自由に選べるようになった場合どのような変化があるか、本稿ではこの点を考察します。

内食か外食か

ランチはオフィス内で食べる人と、外で食べる人とがいます。一斉昼休みの場合、その瞬間から最寄のコンビニに列が出来がちです。ただ、コーヒーやカップ麺など、どうしてもその時間に買わなければならないもの以外を食べる方は出勤前に買ってくるでしょうし、待ち時間の少ないお弁当屋に行く方も増えるため分散されます。
外食の場合、前項のようにセルフランキングとその日の食べたいものを照らし合わせ、その日の1位から順番に店を回り、満員であったり待ち時間が長ければ次の店に行く、という判断の繰り返しが行われがちです。
どちらも、昼休みが固定であるため、希望の店が混んでいて、行きたいのに行けなかったという残念が発生しがちです。

労働基準法34条2項は強制法規。しかしもはや時代遅れ?

「休憩時間は、一斉に与えなければならない」そう労働基準法に明記されています。労働基準法は強行法規ですので、この法律には違反できないのですが・・・もうこの条項、すごく時代遅れなんですよね。
従業員が一斉に休憩に入ったらその時間帯、電話番がいなくなり、全員が外に食べに出たらオフィスのセキュリティに問題が起きます。
例えば工場ではバッチ処理している機械をほったかして昼食に出かけるわけにはいきませんし、調子のあがってきた時間帯に休憩を強要されるのは労働生産性を悪化させてしまいます。
おそらく労働法34条2項は、平等確保や、従業員同士のランチを認めるための趣旨だったのでしょうが、現在ではあまりメリットがなく、不便も多いため、自由にランチタイムをとってよい事業所は増えています

2回転できる店と0回転の店への2分化が予想される

さて、各自が自由にランチタイムをとれたらどうなるでしょう?人気店には早めに行こう、という話になり、人気店は11時過ぎから客が来ます。この時間に一巡目の客がきてくれたら、12時台後半に2巡目の客を受け入れることもでき、これまで1回転しかできなかった店舗を2回転させることが可能となります
コンビニも客が分散され混雑が緩和されると想定され、そうなると利用客は増えるでしょう。そうすると煽りを受けるのは周囲の不人気店やお弁当屋。第1希望が混んでいるためお客を拾えていたお店が淘汰される可能性が高まります。もう既にこうした現象は起きているのでしょうが、ランチ市場は最激戦であり、どこで回転しても明確な差別化をしなければ生き残れなくなります。

0時~1時固定昼休みの職場は負け組へ

さて、こうした中で、昼休みが0時~1時で固定の職場はどうなるでしょう?人気店は2回転するため、利用できなくなります(2回転目まで待つと1時に戻れない)。コンビニもそうした職場の方で多少は混むでしょうし、売れ筋のおにぎりやサンドイッチなどはその時間帯まで残っていないでしょう。そこに、不人気店が撤退したり、品質を落として存続したりすると、もうまともに選べるお店がなくなってしまうおそれがあります。さすがに昼食にあぶれることはないでしょうが、行きたい店に全く行けないのはストレスの源になりかねません
すなわち、0時~1時にランチタイムを固定してしまうと、1日楽しみであるランチがつまらなくなってしまい、負け組になってしまうおそれがあるため、こうした硬直的な休憩時間設定は改善すべきです。

まとめ

お昼の休憩時間を自由にすると、人気店は昼に2回転でき、収入が増加させられる反面で不人気店は淘汰されます。また、休憩時間を自由にとれる職場のランチが充実する反面で、そうでない職場は負け組に転落してしまうおそれがあります。時代の流れは労働基準法を無視して自由に昼休憩をとって良い方向に向かっており、飲食店も、休憩時間が固定の企業もその流れをふまえた戦略設計が必要になります
当研究所では、収益管理と人材育成に詳しい弁護士・公認会計士・MBAが、飲食店の収益性改善や、職場の人財の生産性向上・企業価値創出への貢献など、幅広い範囲で戦略設計や課題解決が可能です。下記よりお気軽にご相談ください。

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