すれ違い離婚を回避するための家族の時間の調整法【弁護士×CFPが解説】

未分類

すれ違いによる離婚は悲しい結末

夫婦が離婚に至る理由の中には、性格の不一致や経済的な問題、親族関係の摩擦などさまざまな要因があります。その中でも近年増えているのが「すれ違いによる離婚」です。お互いに嫌いになったわけではなく、単に時間が合わないという理由で関係が冷えていくのは、非常に悲しい結末といえます。
特に、芸能人カップルやいわゆるパワーカップルなど、夫婦ともに多忙な仕事を抱えるケースでは、どうしてもすれ違いが生じがちです。多忙な生活の中では、相手に構う余裕がなくなり、気づけば別々の時間軸で生きているような状態になってしまいます。しかし、一般的な家庭でそこまで大きなすれ違いが避けられないほど起こるとは限りません。多くの夫婦は、少しの意識と調整によって、関係を取り戻すことができます。
すれ違い離婚を防ぐ鍵は、決して「無理に一緒にいること」ではありません。むしろ、それぞれの生活リズムを尊重したうえで、「限られた時間をどう共有するか」という工夫にあります。仕事や家事、育児といった日々の責任を果たしながらも、家族としての時間を確保する方法を見つけることが重要です。
そこで本稿では、夫と妻それぞれの時間の使い方に焦点を当てながら、家族全体でどうやって共通の時間をつくり、調整していくかを考えます。日常の小さな見直しの積み重ねが、家族関係の再構築につながるのです。

夫の時間

共働きでない家庭においては、夫の収入が家計を支える柱になります。そのため、妻や家族が夫の仕事を「家庭を顧みない行為」と責めすぎるのは適切ではありません。仕事は生活の基盤であり、そこに打ち込む時間を持つこと自体は、家族のためでもあります。しかし、仕事一辺倒の生活を続けると、本人の疲労が蓄積するだけでなく、家庭内での心の距離も広がっていきます。
とはいえ、夫も週7日間働き詰めというわけではありません。多くの職場では週に1〜2日の休みがあり、その時間をどう使うかが大きな分かれ道になります。よくあるのは、休日を疲労回復のために昼寝や飲酒に費やしてしまうケースです。確かにリラックスにはなりますが、それが毎週続くと、妻や子どもと関わる時間が自然に減ってしまいます。
この「リフレッシュの仕方」を少し変えることが、家族との時間を取り戻す第一歩です。例えば、休日に家族と近所の公園へ出かける、ショッピングモールに付き添う、あるいは一緒に昼食をとるだけでもよいのです。身体の疲れを癒すと同時に、精神的にも家族と過ごすことで心が和らぎます。
家族との時間を「義務」ではなく「休息」として考える視点の転換が重要です。仕事に真面目な人ほど、家庭の時間を削ってしまいがちですが、家族とのふれあいも長期的には心身のバランスを整える休養となります。自分の疲労回復を「家族と過ごすこと」にシフトしていくことで、自然とすれ違いの予防にもつながるのです。

妻の時間

共働きでない家庭では、妻が家庭の中心的な存在として、家事と育児の多くを担うことが一般的です。特に子どもが未就学児の時期は、予測不能なスケジュールに追われる毎日になります。急な発熱や食事の手伝い、家事の途中で泣き出す子どもなど、時間の計画を立てても崩れることが多いのが現実です。
このような生活の中で、妻が一瞬でも空いた時間を休憩に充てたくなるのは自然なことです。家事も育児も終わりのない仕事ですから、少しの休みが貴重なエネルギー源になります。しかし、ここでほんの少しだけ工夫する余地があります。例えば、家事の一部を「先取り」しておくことです。夜に明日の洗濯を仕込んでおく、朝のうちに夕食の下ごしらえを済ませておく、掃除を分担して小分けに行うなど、小さな前倒しの積み重ねが、家族と過ごせる時間の余裕を生みます
また、家事の完璧さを求めすぎないことも大切です。家族が一緒に過ごす時間が短くなるほど、妻の負担感は増しますが、実際には「少し手を抜く勇気」が家庭の笑顔を守ることもあります。洗濯物をたたむ時間を削って、その分子どもと遊ぶほうが、家庭にとっての価値は大きいのです。
妻がすべてを抱え込むのではなく、夫や子どもを巻き込んで家事を「分かち合う活動」にすることも効果的です。一緒に料理をしたり掃除をしたりする時間は、単なる作業ではなく、会話の場にもなります。家族の時間を増やすためには、妻自身が少し前向きにスケジュールを整える意識を持つことが重要です。

家族の共通の時間の過ごし方を見つける

家族のすれ違いを解消するために重要なのは、「一緒にいる時間の質」を高めることです。ただ同じ空間にいるだけでは意味がありません。夫はテレビを見て、妻はスマホを触り、子どもはゲームをしているような「同居的時間」では、心の交流は生まれにくいです。
そこで大切なのが、家族全員が楽しく過ごせる共通の時間の過ごし方を見つけることです。これは単に誰かの趣味に合わせるということではありません。例えば、父親が釣り好きだから家族全員を無理に釣りに連れて行くような形では、楽しめない人が出てきてしまいます。重要なのは、全員が「無理なく」「自然体で」楽しめる活動を見つけることです。
共通の時間のアイデアはさまざまです。例えば、夕食を家族全員でとる、ゲームを楽しむ、週末に一緒に買い物へ行く、映画を観る、散歩をするなど、難しいものでなくても構いません。大切なのは「時間の共有」よりも「気持ちの共有」です。全員が笑顔で過ごせることが、家族の一体感を取り戻す第一歩となります。
家族の誰かのスケジュールや趣味に巻き込むのではなく、全員が平等な立場で過ごせる時間を見つけることで、家庭の空気は明るく変わります。そのためには、まずお互いの意見を出し合い、「みんなで楽しいと思える活動」を話し合うことから始めましょう。小さな合意が、大きな信頼関係の土台になります。

家族のスケジュールをその共通の時間に向けて調整する

家族全員が楽しめる共通の時間が見つかったら、次はそこに向けてスケジュールを調整する段階です。これは単なる「予定合わせ」ではなく、家族それぞれの生活リズムを見直すことでもあります。
夫は、まず仕事以外の余暇の優先順位を変える必要があります。趣味の時間や友人との付き合いも大切ですが、それ以上に家族との共通時間を最上位に置くことで、家族の絆は深まります。休日のうち数時間でも「この時間だけは家族と過ごす」と決めておけば、他の予定も自然と調整しやすくなります。
妻は、その共通の時間帯以外に家事をまとめて行う工夫が必要です。例えば、共通時間が夕方なら、昼間のうちに料理の下準備を済ませる、洗濯や掃除を早めに終わらせるなどです。家族と過ごす時間を確保するためには、あらかじめ段取りを組んでおくことが欠かせません。
子どもにとっても同じことが言えます。宿題や習い事などをその時間帯以外に済ませるように意識づけることで、家族と過ごす時間を楽しみにできるようになります。親が率先して時間調整を行う姿勢を見せることで、子どもも自然と協力的になるものです。
こうして全員が少しずつ自分の時間を譲り合うことで、家族共通の時間が無理なく確保できます。大切なのは、完璧を目指すことではなく、「家族で一緒に過ごす時間を最優先にする」という姿勢を共有することです。その心がけこそが、すれ違い離婚を防ぐ最も有効な方法です。

まとめ

すれ違い離婚は、決して特別な家庭だけの問題ではありません。誰にでも起こりうる小さな時間のズレが、積み重なって大きな隔たりになるのです。しかし、すれ違いは避けられない運命ではありません。少しの工夫と意識の変化で、関係を修復し、家族としての温かさを取り戻すことは十分に可能です。
夫は仕事の中にも家族との時間を意識的に組み込み、妻は家庭のリズムを調整しながら共通時間を確保する。そして、家族全員がその時間を「楽しみ」として共有できれば、日々の暮らしがより豊かなものになります。家族が笑い合う時間が一週間の中に少しでもあるだけで、心のすれ違いは大きく減少します。
家族の時間を守ることは、単に離婚を防ぐためではなく、「家庭という小さな社会を支える力」を養うことでもあります。時間の使い方を見直すことは、人生そのものの質を見直すことにもつながります。お互いを尊重しながら共に過ごす時間を大切にする姿勢が、何よりの家庭の絆を育みます。
当研究所では決して離婚ありきではなくご相談者の今後のより良い人生構築のために広い知見からサポートしております。下記よりお気軽にご相談ください。

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました